薔 薇 色 の 地 獄 。 | ナノ
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同じ闇の中で【08】




エレベーターが着き、なまえの目の前に薄暗い通路が見えた。

明かりはあるが、先は見えない。薄暗い闇が、細く伸びている。ここからどこへ歩けばいいのか、そんなこと、なまえには勿論わからなかった。

「…帰り道を覚えておいてくれ、王様」

王様は素直に頷いた。

立ち止まっているわけにはいかない。先ほど自分がそう言ったばかりではないか。アタッシェケースを握りなおす。

「単純な迷路なら、壁に手を着いて歩けばそのうち出口に着くんだがな…」

生憎と、そんなに生易しい通路ではなさそうで。何かに当たれば。例えばハシゴでもエレベーターでもあれば、それに乗じて地上に出てみればいい。

なまえは、自分の運を信じて歩き出した。


それから数分後。なまえは、自分の運の強さに感謝した。


「なまえさん…!!」


何度めかの角を曲がったとき、なまえは、敦、鏡花、芥川の三人と鉢合わせた。

「敦くん……、無事でよかった」
「なまえさんもご無事で良かったです」
「鏡花も、怪我はないか」
「大丈夫」
「芥川くん、……」
「…」

それぞれと顔を見合わせる。

「…、なまえさんも、骸砦へ?」
「ああ、太宰さんに会いに」

ぴくり。
太宰、という言葉に芥川が反応した。

「…太宰さんは、あそこに、…」
「自ら敵となったのだろう」
「芥川!」

敦の言葉を遮り、芥川が苦々しく呟く。

「…自ら敵となった、かは、解らないが。太宰さんに限って、わたしたちを裏切るようなことは…、しないと、わたしは思うよ」

なまえはそう呟いた。

そう、だって。太宰さんは、もう「悪い人」にはならない。あの人は約束したのから。


「わたしは太宰さんを信じるよ」
「…僕も、信じます」
「ありがとう、敦くん」


「…好きにしろ」


呆れたように吐き捨てて、芥川は、歩き出した。


なまえは、鏡花や敦と共に、それに続いた。





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