ささめきこと
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晩御飯を終えたひととき。
テレビを見ながら、うとうととしていた。
「名前、寝るか?」
「…、おふろ、に入ってから…」
「おう、そうしてくれ。わかすから少し待ってろー」
ランサーが、上から覗き込む。
まだ夢見心地な調子ではあるが、名前は答える。
「我が準備をしてやろうか」
「何の準備をするつもりだ馬鹿。お前はとっとと寝ろ」
「なに、湯浴みならば我も共に、」
「それ以上言ったらテメェマジで穿つ」
「…、ん、…」
まだぼんやりする頭。
ふらり、ふらりと揺れる名前に、ブランケットが投げられた。
「、わ」
「風邪を引くぞ。明日も早いのだろう」
「綺礼、…ありがとう、ございます…」
綺礼はちらり、と言い合うサーヴァントを横目で見る。
「風呂は当分沸きそうもなかろう。少し寝るか?」
「いえ、…う、んー…」
「…、」
あきれたようにため息をつくと、綺礼は名前の隣に腰掛ける。
ブランケットにくるまった名前は、綺礼の肩に頭をもたれれさせた。
「30分…、お願いします」
「やれやれ。そう言うと思っていた」
返事は無い。
代わりに、ちいさな、規則正しい寝息。
「…ランサー、ギルガメッシュ」
呼ばれて、サーヴァントは振り返る。
綺礼は、それ以上は何も言わず、ただ人差し指を唇に当てるのみ。
「…綺礼の肩で眠るなど、名前ぐらいなものよの。呆れを通り越して感嘆すら覚えるわ」
「あー…風呂は、」
「30分後だ。沸かしてこいランサー」
「へいへい、っとー」
名前の頭を軽く撫でると、ランサーは風呂場へ。
ギルガメッシュは、面白そうに名前の寝顔を眺めている。
「珍しいか、名前の寝顔が」
「そうだな。…安心しきっておるのが珍しいな。なぁ、綺礼」
「無理もない。そう躾たのだ。名前にとっては、コレが『普通』だからな」
「つくづく底意地の悪い男よのう、綺礼」
「…そうだな」
気の抜けた返事に、ギルガメッシュが一瞬面食らった。
肩を竦めると、ふわりと空気に溶けて消えた。
「…、」
そして綺礼も、そっと名前の髪に触れる。
/静かな夜。ささめきことかな。
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リクエストありがとうございました。
教会組でほのぼのできてたら、いいなぁ。