微睡は水面深く。 | ナノ
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その世界線は砂糖菓子でできていた


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「ランサー」

いつもの、名前の呼ぶ声に。
何故だろう、胸騒ぎがした。

「ランサー。…ランサー、どこですか?」

「…名前、名前、どこだ」
「ここです。ここです、ランサー?」


部屋の前。
ドアの向こう。
ここにきっと、名前は居る。

「…入る、ぞ」

ドアを開ける。


部屋の真ん中に、名前は座っていた。

「ランサー…、?」


振り返る。
名前の、彼女には全く似つかわしくない、赤い瞳に、ランサーの背筋が凍る。
髪の毛も、しろい。
薄暗い部屋に、名前がぼんやりと白く浮かび上がっていた。


「名前、…おまえ…?」

「黒い、泥が…止まらないんです」


座っている名前の足元には、
黒い泥が広がっていた。
時折、ごぼりと音がしている。

「ごめんなさい。わたし、…ダメですね」
「名前…」



震えながら伸ばされた名前の手を、ランサーは握る。
じり、と少しだけ焼けるような痛みがあった。

「、…名前、お前は、…」

名前の腕が、ランサーを抱きしめる。

「このまま、ひとりで居るのは…嫌です…。
ランサー…、ランサー、そばに、居てくれますか…?」

「…、ったく。普段はワガママ言わねえのに。
こういう時だけは素直に言うんだな、お前は」
「そう、ですかね?」

黒い泥が変えているのだろうか。
名前は、微笑みながら呟いた。

きっと。

その槍で、

わたしを、ころしてくださいね。



「ああ…とことん付き合ってやるよ。名前」



その願いは、届いたのだろうか。



名前は、泣きそうな表情で、
微笑んでいた。


ちりちりと焼けるような痛みは、

とうに無くなっていた。


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ツイッターに置いてあるお題箱から頂きました。

「夢主が黒化してランサーを堕とす」


…お題、消化できてますかね?
リクエストありがとうございました。


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