今更言っても、もう止まれない
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風邪をひいた。
今年の風邪は喉にくるらしく、
わたしはこの間から全く喋られない。
お見舞いに来てくれる皆の返事もできなくて、
ちょっと、歯がゆいです。
マスクをして横になる。
蜂蜜を入れたホットミルク。
のど飴、喉のスプレー。
とりあえず喉にいいものを、と。
枕元に色々と積み上がっている。
「おーい名前、メシ食えるか?」
ひょっこりと顔を覗かせたのはランサー。
お粥を作ってきてくれたらしい。
頷いて、肯定。
「ん、よしよし。熱いからなー」
お粥をレンゲに乗せて、ふうふうと吹いてくれる。
「ん、」
そして、差し出してくれる。
…いや、いや。普通に食べられます。
レンゲを取ろうと手を出しても、
ひらりとかわされる。
「病人はおとなしくするもんだ」
なんて、にやりと彼は笑う。
「はい、あーん」
「…、」
仕方ない、とお粥にぱくり。
が、これがなかなか熱くて。
「、っ!」
「あ!?悪ィ、熱かったか!?」
慌てて水をもらう。
「…、火傷してねえな?大丈夫か?」
まだ喉が痛くて返事ができないので、
大丈夫だよ、との意味を込めて、
くちを開いて、舌を見せた。
「…、ん、大丈夫そうだな」
頷いて、肯定。
「名前、…ご飯ついてる」
言われて、探そうと口元に伸ばした手はランサーに取られて。
くちびるの横に。ちゅっ、と音をたてて。
「ごちそーさん」
「…、!?」
何を、な、何をしているんですか!?
思わず振り上げた片方の手も、ランサーに捕らえられる。
ぐっ、とまた、彼の顔が近づく。
「…そんな顔してる方が悪いんだよ」
どんな顔!?
なんて思う暇もなく、今度は唇を深く捕らえられる。
角度を変えて、離れてはまた触れて、
ちゅ、ちゅ、という音。
時折漏れる息。
酸素を求めて、また唇が離れた。
「だ、め…です…」
はあはあ、と荒い息の合間に、
かすれた声が出た。
声にならない抗議の声。
「…んな事言っても、もう止まれねえよ、…名前」
低く甘く、わたしの名前を呼ぶ。
いとおしそうに笑う。
そうしてまた、わたしの唇へ、優しく。
優しく。
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ツイッター診断メーカーより、
『今更言っても、もう止まれない』
キスの描写もワンパターン…。
でも書くのはすきです。