興奮してのぼった血が一気に引き、姫子は眠ったフリをしたまま混乱した。
こんなこと初めてだった。
緊張と不安、恐怖に身を強張らせる。

(…まさか…目の前に座ってた人…?)

距離が近い。
右の腕が当たっている…――掌が姫子の白い太腿に触れた。
思わず跳ねそうになった体を抑え込み、不自然にならないように呼吸をする。

どうしよう、どうしよう、と心の中で答えのでない自問自答が繰り返される。
……ここで起きて逃げようと思い付かなかったのは、姫子にとって不運だったのだろうか。

太腿を撫でていた湿った掌が、開いたままだった内股へと滑り込んでくる。
わずかに湿った肌を指が辿る。
指の背が、すり…、とショーツに触れた。

(……あ…)

姫子の表情をうかがってくる視線が、まるで刺さるようだった。
ク、ク、と布越しに恥丘を撫で、少女の反応を見ている。
一人遊びで視線に興奮していた姫子のショーツは、しっとりと濡れてしまっていた。

(やだやだ…、さ…触らないでよ…)

指の腹が道を辿るように割れ目を何度も擦っていき、愛液が溢れ、ショーツ越しでもぬるぬるとしていく。
ショーツをずらした指が潜り込んできて、熱気のこもった地肌を撫でた。

くちゅ…

柔らかくとろけた割れ目を太い指が撫で上げ、その刺激に思わず姫子の膝が小さく跳ねた。
誰かに触られたことなんてない。
自分しか知らない場所を擦られ、他人に触られる感覚のあまりの違いに、嫌悪より先に愛液が溢れてくる。

(じ、自分で触るのと、…全然、ちがう…。やだ…やだ…濡れちゃう…ッ)

かたくなに姫子が眠ったフリをするので、合意と受け取った男の動きも大胆になっていった。
スカートの中へ潜り込んできた手が、ショーツをずり下げるように中へと滑る。
咄嗟に膝を寄せて内股を閉じようとしたが、掌はグイ、と狭間へと押し込まれた。


「っ、…、、…ぁ……」


愛液を纏わせてぬるぬると滑る指が、剥き出てしまっているクリトリスを撫でてくる。
下から持ち上げるように、上から潰すように、指の腹を押し当てて回すように。

くち… くち…

姫子の頭の中がどんどん真っ白になっていき、体中が発熱したように汗ばんでくる。
非現実的な状況が夢心地にさせた。
妄想と現実があやふやになり、混ざり、快感しか分からなくなっていく。
姫子の両足は開いていた。

くちゅ… ぬぷ、…ぬぷ…

少女の細い指を一つだけしか受け入れて来なかった膣が、大人の男の太い指で拡げられる。
ざらざらとする上側を撫でられ、たまらず腰が身悶える。
音を立てて繰り返される指の動き。
挿し込まれるタイミングで二本になった指が、ギチ…ッ、と狭い膜を拡げた。

(…っい、、…ぁ……、…あれ…? ピリピリするけど…そんなに痛くない…)

姫子は困惑に眉をひそめた。
無理やり拡げられて感じた苦痛は長くは続かず、愛液でたっぷりと濡れた膣が指に絡み付いていく。

クチュ、クチュ …ヌチャ…

指を入れてオナニーすることはあっても、クリトリスを弄らなければ達せなかった。
それなのに、どんどん疼いてくる。
膣内を弄られるのが気持ちいい。
下腹部が指の動きにあわせて熱くなって、息が上がって、両足が震えている。


「っ、ん……、、ふ…っ、ン…」


未知の感覚に襲われて、飲み込まれて、とろけて落ちていく。
知っているのに知らない。

何が何だか分からないまま、姫子は絶頂に達していた。

シートにもたれかかり、ふーっ、ふーっ、と荒い呼吸を繰り返す。
心臓が早鐘を打っている。
膣が火傷をしたかのように熱い。
掻き回されてドロドロになった愛液が音を立てた。
突然降りかかった行為が終わり、姫子はほっと体から力を抜く。

――出ていくかと思われていた指は、再び内壁を官能的に撫で始めた。


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