待合室の安っぽい長椅子は、ベンチタイプのもので幅も狭い。
そんな不安定の場所で、絡まりあい、2人はセックスを楽しんだ。
張り詰めた股間を擦り付ける。
蕩けるように蠢く膣を締め付ける。
ギィッ、ギィッ、と派手な音で軋むロビーソファの上で、姫子はいやらしい声をあげ、医者の男はうっとりと腰を揺すった。

―― Prrr… Prrr… ――

そんな怠惰で淫猥な行為を咎めるように、カウンターにある電話が鳴り響いた。


「っあ……」


思わず医者がその腰を止め、姫子が我に返るように瞬きをする。
今は診察外の時間だ。
ああ、でも、音声ガイダンスが流れる留守番電話にしていない。
姫子が胸中で迷っているうちに、医者はしゃぶりついていた乳首から口を離し、その身を起こした。
膣内からペニスが抜けていく。

(あ……おなか、すかすかする…)


「す、すぐ出ますね…っ」


後ろ髪を引かれる思いで、姫子はカウンターへと向かった。
切れることなく呼び出し続ける音に、少しだけ不満を抱いてしまう。
楽しい時間を邪魔されてしまったのは残念だが、もし急患だったら大変だ。
受話器を震える指で掴んで、落ちないように両手で取って、いつものように応える。


「お待たせいたしました、××診療所です。どうされました、…か、っ、…!」


ビクリと姫子の肩が跳ねた。
追ってきていた医者が姫子の背後に立ち、捲れたままで剥き出しの尻に、ペニスを擦り付けてきたのだ。

(っあ…うそ、このまま……?)

受話器の向こうから、おばあさんがゆったりとした口調で話してくる。
子供の頃から知っている近所の人だ。
会うたびに「姫子ちゃん」と可愛がってくれていた。
ここ最近は耳が遠くなって、今は補聴器をつけている。
少し声の大きい老女の言葉に耳を傾けながら、姫子の心臓はドキドキと早鐘を打った。

焦りと、緊張と、期待と…興奮。

医者が両手で姫子の腰を掴み、後ろへ…自分の方へと引き寄せる。
尻を突き出すような体勢にさせられ、片手を受話器から離してカウンターに掴まった。


「…っええ、××さんは今日、往診予定になってます…… 午後の…2時に…、近くから順番に回っていくので…」


ぬる… ぬる…

ペニスの先端が、濡れた割れ目を上下にゆっくりとなぞる。
…焦らされている…。
受け答えはしながら、それでも意識は男へと向かい、もどかしげに尻が揺れてしまった。

ぬちゅ…ヌ… ずぷっ

(っあ……――くる…)

ふぅ…と淫らな吐息が出てる。
ぬかるみへ亀頭が潜り込み、ゆっくり、ゆっくりと膣内が侵略されてペニスを埋められていく。
姫子の膣にすっかり馴染んでしまった医者の肉棒は、鍵穴にハマるようにぴったりと女と繋がった。
縮れた男の獣のような陰毛が、柔肌の尻へぐしゃりとあたる。
膣内を広げて根本まで収まり、姫子の子宮を押し上げてくる。


「っ、ぅ……、は、はい… ××さんは…ええ、…っ、おそらく、さ、…3時半、頃に…お伺いできると…思います…」

『――? ――、――?』

「ああ、ごめんなさ、ッ、……ごめんなさいね…、んっ、ちょっと、慌ただしくしていて…… ええ、大丈夫です…」


さすがに不審に思われただろうか。
どうしたのと聞いてくる声に、取り繕う言葉が上手く出てこない。
けれど老女はいつも通りの声色で、優しげな口調のままだ。
見知った親しい人と話しているのに、ごめんね、深く深く入ってくるペニスが気持ちいいの。

(あぁ…こんなの不謹慎で、駄目なのに、…変になりそう…おなか痺れちゃう…)


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