火照った肌に纏わりつくような夜風に、姫子はふるりと震えた。
…寒かったのではない。
自分でもよく分からない高揚とした感情が、姫子の心を侵していったからだ。


〔ご主人様〕
『ベッドの上で膝立ちになろうか。
そのまま窓枠に手をついて、外に向かって胸を突き出してごらん。』
『外からだと上半身が丸見えだ。
いやらしく尖った乳首も、かわいいおっぱいも、戸惑った君の顔も。
全部、丸見えになってる。』
『どんな気分かな?』


熱に侵されたように頭がふわふわとしてぼんやりしている。
姫子は素直に打ち込んだ。


〔つばき〕
『恥ずかしいのに、ドキドキして、エッチな気分が強くなりました。』


とても危険で、誰かにもし見られたら…なんて考えたら恐ろしいのに、不思議な解放感に浸される。
縛られて奥底に押し込められていたものが、縄をほどかれ自由になったような…。
ねえ、ご主人様、次は?
次はどんな恥ずかしいことをするの?
姫子は酩酊したような表情で、濡れた瞳でスマホの画面を見つめた。

パンツは脱いじゃおうか。
 ――…はい…。

Hなお汁で濡れちゃってるね。
 ――…はい…すごく濡れてます。

触りたい?
 ――……触りたいです…。

どこに、触りたいの?
 ――…おまんこに、触りたいです。

声に出して、もう一度言って。
 ――…言いました…恥ずかしい…。

ちゃんと言えて偉いね。良い子だ。
 ――…ドキドキして、おかしくなりそうです…。


いやらしい言葉のやり取りが続く。
びしょびしょに濡れてしまった恥部は、狂おしいほど刺激を待ち望んでいる。
ご主人様に触ることを許されても、それは焦らすようなものだった。

割れ目を指でそっとなぞるだけ。
クリトリスに優しく触れるだけ。

…姫子の肌は夜風が気にならないほど熱く火照って、吐息も荒いものになっていった。

濡れた指でクリトリスを擦って。
挟んで、弄くり回して。
乳首をカリカリと爪で弾きながら、クリトリスをくちゅくちゅと擦る。
焦らされて、焦らされて。


〔ご主人様〕
『我慢できて偉いね。
ご褒美だ、指を1本だけおまんこに入れても良いよ』
『でも動かすのは許さない』

その文字列を目にした瞬間、姫子は自分の細い指をぬかるんだ膣内に挿し入れていた。
歓喜が心で破裂する。
背筋を駆け抜けていく快感。
ドロドロに愛液で濡れてだらしなく溢れ、熱を持った内壁が指に絡みついて収縮する。


「あぁ…っ、んん…あ…あ…っ」


声を堪えようと思うのに出来ない。
甘ったるい、まるでAV女優がするような、濡れた女の吐息。

『まだ動かしちゃ駄目だよ。』
『どんどんお汁が溢れてくるね。』
『もう我慢できない?』
『ゆっくり動かして。ゆっくりだよ。』
『気持ち良いね…』
『指を2本に増やして良いよ。そのまま根本まで入れて、指先でお腹の方をトントン叩いて…。』

溢れてくる愛液が垂れて内腿を濡らし、ポタポタと落ちてシーツにシミを作っていく。
姫子は焦らされて燻る熱に、身を焼かれそうなほど悶えた。


〔ご主人様〕
『良い子だね…可愛いよ…。』
『おまんこ指でいっぱい擦ってあげなさい。
グチュグチュ音を立てて、腰をくねらせて、気持ち良いと口に出して…。』
『Hなお前なら出来るね?』


「〜〜…っ、ふぁ…あ…ッ、あっ、はぁっ、あっ、あぁん…っ き、気持ちいい…っ、あっ、あっ、気持ちいいの…っ」


卑猥で耳を覆いたくなるような派手な音が、指を動かし続ける下肢から鳴っている。
姫子はスマホをろくに操作できず、返事することも出来なかった。
許された快感をひたすら追って、いやらしく指を動かして膣を掻き回した。
そんな姫子の状況を知っているかのように、返信を待たず、チャットは“ご主人様”の言葉で埋まっていく。


〔ご主人様〕
『エッチな声、誰か聞いてるかもね』


ふと、涙で歪んだ目に止まり、姫子の体は震えた。
ゾクゾクと這い上がってきた性感はあまりにも異質なのに、姫子は胸をときめきに弾ませた。


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