男の手は性急だった。
それは“待て”から解放された犬のようであり、飢えたハイエナのようでもあった。
もはや獣(けだもの)だ。
太い腕を喪服の合わせから潜り込ませ、襦袢と腰布をかき分け、滑らかな内腿を無遠慮に撫で上げていく。
そして両足の狭間へとグッと差し込まれる指。
姫子は顔を反らした。
ショーツを撫であげた男が笑う。


「もうこんなに濡れているじゃないか…。私とあの女がしてる様を聞いて興奮したのかね?」


男の指が湿ったショーツ越しにグリグリと恥部を弄くり回し、姫子はたまらず腰を跳ねさせた。
割れ目は発情したように柔らかくとろけ、はしたなく潤んでいる。
言い訳もできない。未亡人の男旱(おとこひでり)の体は反応していた。

(こんな、こんな男なんかに…っ)

コントロール出来ない自分の体に、姫子は悔しげに唇を噛んだ。
ぐっしょりと濡れそぼっていた肉襞は、ショーツをずらした無骨な指を簡単に飲み込んでしまった。
思わず、びくんっ、と背中が反る。


「っ…ぅ…うぅ…ん…、は、ぁ…ッ」

「なんてイヤらしい女なんだ…どんどん溢れてきてるぞ…」


膝立ちのまま指で掻き回され、粘着いた水音が派手に鳴らされる。
粘膜と指との摩擦で白く泡立ち、男の指から手首へと伝い、畳の上へと垂れ落ちていった。
姫子の嫌がる意思など関係ないとばかりに、“雌の体”は“強い雄”を迎え入れる準備を整えていく。
反応のいい姫子に気を良くして、男は女を横たえるべく伸し掛かるように押し倒した。
禁欲的な襟ぐりを強引に割り開き、白くたわわな乳房を露わにすると、ツンと立ち上がっている乳首に吸い付いた。


「っあぁ…!」


思わずといった風に唇から飛び出したのは、女の嬌声だった。
一年振りに与えられる“男”の指や体温に、ひた隠しにされてきた“女”が反応してしまう。

(いや、こんなのやっぱり嫌っ! ××さん、ごめんなさい、あぁ…誰か助けて…!)

姫子は胸中で亡き夫の名を呼び、神仏に縋るような苦痛に満ちた懇願をした。
未亡人の悲しみも虚しく、男の手は止まらない。
大きく左右にはだけた着物の中から、するりとショーツを抜き去った。
姫子はきつく瞼を閉じて、与えられる屈辱に耐えた。
……大胆に開いた両足の狭間に頭を埋め、分厚い舌が股間を舐め回している。
ジュルジュルと啜られる音を耳にして、カッと頬が火照った。
女慣れをした指が腟内を弄り、芯を持った陰核を舌先が弾いて、唇に挟まれて吸い付かれる。

(あ、あ、だめ…ッ、やだ、これ、このままされたら…キちゃう…!)

覚えのある感覚が迫ってきた。
逃げるように身を捩っても押さえつけられて、どうすることも出来ない。
なすすべもなく翻弄され、姫子はとうとう仰け反るように快感を露わにして尻を浮かせた。


「っぅ…ン、は、はぁ…あー…ッ!」


駆け昇っていったオーガズム。
下半身が淫らなひきつけをおこし、その絶頂の強さを男へと知らせた。


「姫子さんを味わってからこの1年、この時をどれだけ待ち望んだことか…」


分厚い亀頭が押し当てられたの感じて、姫子はハッと局部に視線を走らせた。
両足の狭間にいきり勃ったペニスが居座り、今まさに膣内へと埋め込まれようとしている。
薄いラテックスをその砲身に被っていても、凶悪な姿は隠せるものではなかった。
姫子は「ひっ」と息を飲む。

( あ…あ…、この人の、こんなに…こんなに太くて…大きかった…? )

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