別に対抗心とかがあるわけじゃなくてただ外に出たかっただけ。だからディーノさんから食事に誘われていつもなら断るけどOKをだしたのだ。あ、ちゃんとツナも一緒でディーノさんは誘ってきたんだけどツナはまたあの子と会う約束してるみたいで「食事にいかない?」ってディーノさんの名前を出さずに誘ったらあっさり無理だって言われたよ。返事はNOだと分かってたから悲しくなんてなかった。
ディーノさんが迎えに来てくれてツナが驚いていたなあ。そんなツナを通り過ぎて私はディーノさんに「Buonasera」と挨拶をして抱きつき頬にキスをする。意図を察したのかディーノさんも続けて頬にキスをしてくれた。勿論、ツナがこのまま「いってらっしゃい」と言ってくれる訳がなく顔は冷静を保っていたが笑みが引きつっていた。そんなツナに気づかないで話しかけれるディーノさんが凄いと思う。この人は生粋のイタリア人だから挨拶に怒るツナの気持ちは分からないんだろう。私も別に挨拶なんだからいいと思うけどツナが怒るので今までやらないでいた。
軽くディーノさんと話したツナはちょっと待っててくれと彼に言って私の手を掴み誰もいない客間へと連れてこられた。普通は此処でディーノさんに待っててもらうんじゃないのかな?ディーノさんを玄関で待たせていいの?

2人きりになったツナは不機嫌まるだしで質問ばっかしてきた。それも逃げられないようにしっかり壁に追い詰めて私の顔の横にはツナの両手でふさがれている。此処までくるとほんとあきれてしまう。自分の事を棚にあげてこいつは何をしてるんだか。ほんとに自分の浮気がバレてないとでも思ってるのか。

「ディーノさんと何処に行くの?」

「食事だけど?ツナもちゃんと誘ったよ」

「ディーノさんもいるなら居るって言ってくれればよかったじゃん」

「ツナは私と2人で食べに行くのは駄目だけどディーノさんがいればいいんだ」

「そうじゃなくて…俺が誘ってもいつも断るのに」

「ディーノさんはちゃんと前日に聞いてくれたから行けるの」

何故、私が溜息をつかれなきゃならないんだ。悪いのはツナじゃないか。そうじゃないって?じゃあ、なによ。私はちゃんと真っ直ぐツナを見ているのにツナは私と目が合うとすぐ考えるフリをして目を逸らす。後ろめたいことがあるからなんじゃないの?

「何で抱きついたの?キスしたの?」

話しを逸らしたよ。偉そうに私を見おろしちゃってさ、中学の時は同じくらいだったじゃない。身長は伸びても中身はまったく変わりないのね。かっこつけてるけど泣きそうだよ?わかるんだよツナの事ならなんだって。そんな大それた人間になろうとなんかしなくていいんだよ。私の前ではいつも通りのツナで居て?素直に泣いて「行くな」って言われればいかないから。でも、ツナは変わったからそんな事言わないだろうね。

「あれは挨拶よ」

そう冷たく返してツナの手をすり抜ける。そのまま背を向けドアに手をかけて何か言ってやりたいなと思い振り返り「ツナには愛がある様に見えた?」なんて皮肉な言葉を吐きだして見たが満足はしなかった。以外に自分は僻み屋なのかもしれない。こんなに待たせたのにディーノさんは笑顔を私に向けてくれた。ほんと王子様だな。部屋に置いてきた筈のツナが追いかけて来てまさか一緒に行くと言い出すとは思わなかった。きっと私が出て行ってから女に連絡でもしたんだろう。まあ、ディーノさんが3人で食事できる事に喜んでいるならいいか。なんだかんだ私の元に帰ってくるツナを捨て切れないから庇うのかもしれない。


((ディーノさんと話す度にツナの殺気が痛い))



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