ツナには私がいるのに攻めよってくる女は一杯いる。昔はまったくモテたりしなかったのに。別に不安があるわけじゃない。他の女と出掛けようが話そうがぶっちゃけどうでもいい。それ以上の事をしたら駄目だけどね。例えばセックスしちゃうとか貢ぐとかさ。キスは微妙かな?だってイタリアでは挨拶って意味もあるからなあ。私から見て愛情がこもってるって思ったらアウトなのかもしれない。


だからってやっぱ現場を目撃してしまうとは思ってもみなかった。


屋敷にいてもつまらないから仕事もないし部屋から抜け出して1人で映画を見に来たのだ。淋しい女だとか思わないでよね。だって男の人と行ったのがバレたらそいつの命も危ういし私の体も危ないんだもん。女の友達だってイタリアにはクロームちゃんとビアンキさん、留学にきてるハルさんしかいない。ちなみにちゃんと女の方々にも連絡をとったがみんな忙しくてこれないとのことだった。しょぼーん。まあ、1人映画もなかなか楽しかったかな。映画館から出ると目の前に噴水があって私と反対側の場所で向かい合ってるカップルの彼氏の方がツナに似てるなあって微笑ましく思っていたんだけどずっと見続けるうち、あれ?ツナじゃね?ツナだよね?ってな感じに本人だった。水の音で会話は聞こえないが女の方がツナに抱きついてそれをツナも受け入れて抱き返してキスをしやがった。距離が離れてるし私も向こうも誰にもバレないように(私はツナに気づいたけど)私服だから向こうは私に気づかないだろう。

「おい、名前なんでここにいんだよ!」

ツナをガン見してたら誰かに肩をつかまれ凄いびっくりして振り返った。声を掛けてきた主も私の驚きように驚いていた。

「なんだ獄寺か」

「なんだってなんだよ」

どうやら獄寺も暇だったららしくて街を彷徨っていたら私を見つけて急いで駆け寄ったらしい。怪訝と焦った顔をした彼は「もしかしてお前浮気してるんじゃねーだろおな」ってやめてくれよ。私がそんなことする訳ないだろと地味に膝を蹴って否定した。旦那はしたけどさ。
どうやら獄寺はツナに気づいていないようだ。でも、こいつのことだから噴水の反対側に居て距離があるのに私のように気づいてしまうかもしれない。向こうにこっちがバレても困る。尊敬するボスが浮気してるとか幻滅させちゃうし、ツナのボスとしての威厳も消え去っちゃう。取り合えず獄寺の背中を押して屋敷に帰宅する方へと進む。話題は映画館に1人で行った淋しい私の話。獄寺に憐れみの目を向けられ友達のいない子だと認定された。屈辱だ。
屋敷に帰ってまずしたことは枕パンチだ。涙は出てこなかった。ただ、あの可愛い女は誰だ!みたかんじ一般人だったな。ふわふわした人だった。そりゃチューとかしたくなるよね。まず願った事はツナの浮気が誰にもバレてませんように。


((私はかなりツナに舐められてるらしい))



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