私の背中に手を回してツナは抱き締めかえしてくれた。いつの間にかできてしまった身長差の所為でヒールの靴をはいてても私の顔はツナの肩をちょっと越すくらいだ。泣き顔が見られませんように。するとツナが「ほんとに言いたかったこと言うね」って泣いてる私をさらに泣かす発言をしてきた。ツナが此処へきた目的は私と話すことだったのか。


「ごめんっ。不安にさせて、俺が背負うものを名前にも背負わせちゃってごめんね。何処にも連れて行ってあげられなくてごめん。ちゃんと話を聞かないで仕事ばっか優先して名前の気持ち考えてあげられなくて、こんなになるまでボロボロにさせて、幸せだって言わせてあげられなくてほんとにごめんな」


私の頭を優しく撫でて抱きしめてくれたツナは何度も何度も泣きそうな声で謝ってきた。あの女の人の事は謝ってこなかったけどね。ほんとにバレてないと思ってるんだなこいつ。とことん私に隠すつもりか。そう思うとちょっと胸が苦しくなってツナの上着を握りしめた。でも、きっとこのごめんの中にその事も入ってるんだろう。だからこの場所を敢えてツナは選んだのか。ようやく此処を選んだんだ理由がわかったよ。

「許してもらおうなんて思ってないけどバイバイなんて言わないでよ」

そうやって素直に言ってくれれば私だって不貞腐れたりしないの。意地を張って私の前でもボスぶろうとするから疲れが溜まって優しいツナは爆発できなくて崩れちゃうんだから。リボーン君は溜めこむと私が潰れるって言ってたけど私よりツナの方が壊れやすいんだよ。

「次はないからねっ。今度こそツナのお嫁さんだって自信を持って言わせてよ?」

「うん。もう絶対泣かせたりしないから」

「な、泣いてないっ!」

くそぉ!泣いてるのがバレないように自分から抱きついたのに意味なかったみたい。鼻を啜ったツナはクスと笑って抱き締める力を強めてきた。

「じゃあ、俺にも聞かせて。…俺は名前の旦那さんで居ていい?」

私の腕をつかんで離れたツナは私の涙を指で脱ぐって真っ直ぐ私を見つめている。自信のないツナの不安で一杯の顔に私が元気をあげられるなら私はそうする。

「Si.Lei ei mio marito dell'adorato.(はい。貴方は私の最愛の夫です。)」

仮面夫婦はお仕舞い。おしどり夫婦に戻ったのかな?まあ、他所からみたら前と変わらないようだろうけどね。ツナは裏社会を牛耳るマフィアの中でも伝統、格式、規模、勢力とすべてにおいて別格のボンゴレファミリー10代目ボスで穏健派な喧嘩に強くて女に弱い私の旦那さん、私はそんなツナを支える美人でも強いわけでもない元は幼馴染みだった奥さん。なんかこの自己紹介的なの自分で考えて凹みそうになった。もう二度と使うのやめよう。
ねえ、何年振りかな2人でこんな穏やかに笑いあったの。こうやって外面だけじゃなくて内面でもいい夫婦であろうね。…それでさ、此処街中なんだよね。いつの間にか痴話喧嘩見たさに人が集まってきたらしくて気づいた時には時既に遅し外野が「おめでとう」とか「もう喧嘩すんなよ」「俺、今日別れた」的なヒューヒューと冷やかしてきた。恥ずかしい。ツナは普通に笑顔振り撒いて私を抱き寄せてきて仲良しアピールしはじめたので私もニコッと笑う。


((早く映画みようよ))




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