最後まであの台詞を言わなかったらツナは凄い泣きそうな顔で私を見てきた。あのね、私だって言いたかったよ。誰が言えなくさせたと思ってのよ。なんか私が悪いみたいじゃない。

「俺は名前と離婚する気なんかないから」

凄い直球だし痛い痛い痛いよ。掴まれた両腕がめちゃ痛いですツナさん!あんた自分の力がどれだけあると思ってんのよ。マフィアのボスなんだから私のか弱い腕くらいへし折れちゃうくらいの握力あんでしょ!手加減しなさいって今のツナにそんな余裕ないのか。痛いとは言いだせなくて取り合えず堪えてツナを見た。うわ、高校の時イタリアについてきてくれって頼んで来た顔にそっくり。あの時は一緒に行くなんて当然でしょって答えることができたよ?その後のツナの無垢な笑顔をみたらやっぱり愛しくてたまらないって思った。今は悲しい顔をさせちゃった。

「…私が楽だから?」

「そんな訳ないだろ!」

「見た目?」

「俺が外見で人を判断したことある?」

「ない、ないよ」

「名前と別れたくない理由がそれだったら俺はもうとっくの昔にフラれてるだろ?」

「…たしかにっ」

言われて嬉しい言葉なのに素直に喜べない。裏があるんじゃないかって警戒しちゃう自分が嫌になる。

「名前が好きで誰にも渡したくないし名前には俺だけを好きでいて欲しいんだ」


なんて勝手な野郎だ。自分は他の女に目移りしたくせいにさ。私の事をツナは知っているつもりでいるかもしれないけどツナが知らないことだってあるんだよ。
ツナが仕事やマフィアを嫌になって病んでいたときツナの変わりにボンゴレを支えた事があったし。自分でもあれほど女を捨てた事はない。ツナは知らないでしょ。私が銃やナイフを使える事や人を撃った事があることも。ツナも変わったけど私も凄く変わってしまったのかもしれないって凄く不安で怖かったんだよ。そんな時ツナは私から離れていった。私がどれだけ苦しかったかわかる?やっぱり弱音も言わない愚痴も話さない役に立つ私がいいんでしょ?そんな事ツナが思ってる筈ないのに被害妄想だけが浮かんでしまって気づいたら抱きついていた。泣き顔を見られたくないのもあった。抑えようにも抑えきれなかった。ツナに心配をかけちゃいけないと思いツナの前で我慢してきた涙が一気に溢れ出して私には止め方が分からない。ツナが私を大切に思ってくれてるのも愛してるのも自惚れてるようだけど全部わかっているの。ツナの居場所は私が居る場所。それはツナが帰って来る場所はずっと私であって欲しいからそうなるように私がしたこと。口に出さないだけでツナが思ってるより私は優柔不断で強がりで私に泣きついてくるダメダメなツナを小さい頃から好きだったんだからね。


((この事を全部言ったらツナはどうするだろう?))




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