「こう言っておいてなんですけど、なんで伸ばしてるんですか?」

自分でめんどくさいと言っていたあたり。髪を伸ばすことにメリットがあるとは思えない。なにか他の理由でもあるのだろうか…。そんな気持ちで何となく聞いいたことだったのだが。

「なんとなく。」

といったエドワードさんの顔は暗いものになっていて。僕は慌てて話題を変えた。エドワードさんも察してくれたのか、二人で話を逸らす。
そうだ。エドワードさんが親しく話してくれるから調子に乗ってしまった。今のは僕が悪い。なんだか初めての距離感に戸惑ってしまう。どこまで許されて、どこまでがダメなのか。

( もっと、エドワードさんのことが知りたい。)

「さ、これで大丈夫でしょう。」
「てかさあ、敬語やめねぇ?」
「え!」
「たぶん年とか同じぐらいだろ?」

そこで密かにショックを受けたのはアルフォンスだった。普段おとなしく実年齢よりも上に見える自分だ。相手の目には26,7歳ぐらいに見えているんじゃないだろうか。それで同じぐらい?目の前の人は童顔のせいか23歳…下手したら20歳でも通りそうだ。

「え、エドワードさんって何歳なんですか…?」

女性に聞いたら殴られるレベルの質問だが、今はそんなことより好奇心と探究心の方が勝ってしまっていた。

「オレ?オレは27だけど。アルフォンスは25ぐらいか?」
「……僕は23です…」

まさか4つも年上だったとは…、三十路手前の男性全員を敵に回しそうだ。

「へー、結構年下なんだな!くっそ!」

またまたむくれているエドワードさん。今度はなにが気に入らないのか…。いや、多分童顔な自分とさらには身長でも気にしてるんだろう。こんなに起動哀楽が激しい27歳も居ないだろうな。
そう思うとなんだかエドワードさんが子供のようで。

「ふ、はははっ、」
「笑うなっ!!」

今思うとこの時から僕らの距離は一気に縮まったんだ。



もしこの“猫”に拾われなかったら、

この先のあんな生活は待っていなかっただろう。








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