「で?アルフォンスはなんの仕事してんだ?」
「普通にデータの処理ですよ。まだ下っ端なんで。」
「へー…、ってなんでこんなめんどくさいやり方してんだ?」

拭き終わってタオルをカゴに放り投げたエドワードさんが横からノートパソコンを自分の方へ引き寄せると、カーソルを動かして眉を寄せた。まだ作業中だ。効率なんてわかるものなのか?

「ここは、こうしてこうして…」

目の前でカチャカチャとブラインドタッチで展開されていくページと処理。
天才というやつか。多分エドワードさんにはどうやるのが最も効率的なのか頭の中で組立てられているのだろう。説明も曖昧でその動きを追うだけで精一杯だ。

「一体どこの企業に務めてたんですか」
「ナイショ。」

目の前で起きたことが全く信じられない。

内緒だと意地悪く笑むエドワードさんに聞きたいことなんて山ほどあるけれど、それより今は。

「すみません最初のとこ見逃したんでもう一回お願いします!」

アルフォンスは知らない。天才という生き物がどれほど孤独で寂しい存在か。そしてそんな人間が企業にいることの利益と引き換えにどれほど妬まれるか。それだけではなかったけれど、アルフォンスのこの言葉がエドワードの心を軽くしたのは事実だ。


「おう!」

純粋な尊敬。

それがエドワードには心地良くて。もっと教えたくなるし、対等な立場に立って同じ目線で、アルフォンスと話がしたい。だれでもなく。アルフォンスと。


それからはデータの処理の効率の良さについて夜中まで語って、ソファーとベットで言い合いもしたけれど、結局真冬なんだからと一緒に寝た。セミダブルのベットに男二人はギリギリだったけれど、討論をした二人はすぐにぐっすりと寝入ってしまっていた。

それにお互い、まだ気付かないところで気持ちがつながっていたから、きっとこんなにも安心して寝れたのだ。








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