「エドワードさんの家って近いんですか?」

この雪の中泊まっていけというぐらいだ。恐らく歩いていける距離なのだとは思うが、アルフォンスの家だって二駅だ。一駅以内でなければ丁重に断るつもりで聞いたのだが。

「ここ。」

と人差し指で上、二階を示されてしまっては、もう反論のしようがない。

そうしてカウンターの奥の階段を上ると、簡易キッチンにトイレ、バス。リビングは狭めだが3人は座れそうなソファーとテレビ、それと観葉植物。その三点しか置いてない為だいぶ広く見える。

店がビルとビルに囲まれているため構造的に細長い設計の部屋で、寝室はまたその奥にあった。一通り案内されてからもうひとつの部屋を紹介される。

「わ、すごい…」

一面が本、本、本。

図書館のように本棚が並んでいる部屋は出入り口横の机以外それで埋まっている。

「仕事残ってたよな、リビングとこっち、どっちがいい?」

「えーと、じゃあ、リビングで。家でも結構リビングでなんでもやっちゃうんで。」

嘘は吐いてないが、ただでさえ人様の部屋に、それもエドワードさんの部屋だ。見たところ書斎の方はかなりプライベートで使ってそうだし、ここはリビングを使わせてもらおうと当たり障りのない言葉で書斎を避ける。

「ん、わかった。…あとは、スーツだと疲れるだろ?、とりあえず風呂入れ。乾燥機あるから乾くまでの服を、って言っても体格違うもんなぁ。」
「あー、そうですね…」
「お前今身長見ただろ。」
「そ、そんなことないですよ!」

あはは、と笑ってみせると、明らかに拗ねたように、ふい、とそっぽを向いている。
その仕草があまりにも可愛いものだから、少し。ほんの少し見とれてしまった。

「とにかく!なんか服探してくるから風呂行け!タオルは脱衣場に置いてあるからな!」

むくれた顔のまま、びし!とバスルームを指差して命令されると、なんだか昔からの付き合いのような懐かしさと楽しさで、「はい」と笑いながら風呂場へ向かった。

見た目よりも広いバスルームのシャンプーにリンス、なんだかずぼらそうな性格だと思っていたが綺麗にされていて、なんだか以外だ。

( あ、エドワードさんの匂い。)

バスルームから出ると脱衣場にはスウェットが置いてあって、すぐ隣の洗濯機が回っている。フリーサイズみたいだし、これなら着れないこともないだろう。

「お先、お風呂ありがとうございました。」
「おう、とりあえずそれで勘弁な、あと今飯作ってるからまだ仕事すんなよ!」
「え、あ、すみません」

そう言われてみるとキッチンからは香ばしい匂いが漂ってきていた。エドワードさんも言い終わるとキッチンへ戻っていく。

「なんだかお世話になりっぱなし…」

申しわけないなぁ。と思いつつもガシガシとタオルで頭を拭く。もともと短い髪は少し荒く拭いてもすぐにしっとり、程度に乾いた。

「よっと、おまたせー」

置かれた皿はサラダの上に飾られたチキンはなんのソースだろうか、すごく美味しそうだ。

「すみません、いろいろ…」
「なに言ってんだ。オレは結構仲良いつもりだったんだけど、違ったわけ?」

に、と笑うエドワードはまるで小悪魔だ。アルフォンスは風呂上がりなのとは別に顔が熱くなるのを感じながら、嬉しそうに、はにかんでみせた。








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