今思えばあの日から、だったような気がする。どちらが、というわけでもなく。昔からそうしていたかのように、エドワードさんの部屋に入り浸ることが多くなった。

アルフォンスの荷物は増えていき、もともと荷物が少なかったエドワードのクローゼットは半分ほどしか詰まっていなかった為、共有するようになっていた。


勿論ベットも。


それに耐えられなくなってきたのはアルフォンスの方だった。

起きると目の前には相変わらず蜂蜜色の髪が散っていて。その髪の持ち主は腕の中でご満悦。といった感じに熟睡している。

匂いだとか。感触だとか。温もりだとか。朝一にこれは拷問に等しい褒美だ。勿論アルフォンスに男色の趣味はないが、もともと中性的な顔立ちに、ここまで心地好い空間を作ってしまう相手に惹かれない方がおかしいだろう。

「エドワードさーん、朝ですよー」

初めはエドワードの方が早く起きていたがそれは店を開ける時だけだとわかった。休みはアルフォンスと同じ土日、祝日。どうやらアルフォンスのような疲れた会社員をターゲットにしているようだ。

そのため土日、つまり今朝はぐっすりなわけだ。だがもう時計は9時を指している。

「エドワードさーん、」
「ん、もうちょい…」
「それもう10回目だよ…」

はあ、とため息をつきながらまた枕に頭をつける。この枕もエドワードさんが買った、アルフォンスの為のもの。歯ブラシ、食器、着替え。

( あと15分したらもう一回起こそう…)

どんどん増えていく荷物がアルフォンスがこの部屋に馴染んでいることを物語っていた。








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