次の日、出勤したアルフォンスはエドワードの言葉を信じてデータをそのまま上司の手に渡した。

すると、どうしたことか暫くして同じ課の先輩3人だけが上司に呼ばれた。項垂れた背中と上司の眉間に入った皺を見る限り、どうやらお叱りを受けているようだ。

その内容は勿論。エドワードの処理したデータだ。

エドワードは処理内容からそれぞれの担当者を割り出し、尚且つアルフォンスのデータを完璧に処理し、アルフォンスでも、もしかしたら、の程度で起きそうなミスを他のデータに仕込んだのだ。

上司からしてみれば入社したばかりの仕事は完璧。その上に立つべき存在がミスだらけ。という風にしか見えない。

先輩達も、お前のせいで。など言えるわけもなく。アルフォンスの仕事の量はこの日を境に、エドワードの言った通り4分の1になったのだった。







「エドワードさん!」

と元気よく入ってきたアルフォンスに、いつものように「おう!」と元気に返してみせるエドワードは、その表情と来店時間に、自分の思惑が成功したことを確信していた。

「今日から早く帰れるな!」
「一体なにしたんですか?」

実はな、とないしょ話をするように、お互いカウンターに手をついて。エドワードがアルフォンスに耳打ちをすると、アルフォンスから驚きの声が上がった。それを満足げに見ているのは、にしし。と笑うエドワード。

他の客が居ないのをいいことに(いても変わらないが)遠慮せずに笑うエドワードを、じとりと見ながらも、助かったことは事実の為、深いため息を吐いた後、いつもの珈琲を頼むのであった。

「それにしても、よく担当者まで割り出せましたね…。この際エドワードさんが何者なのかは聞かないことにしておきます。」
「それは気が利くなっ」
「そこで、エドワードさんに色々教えてもらいたいんですけど…。」

何者か、以外で教える。というのは仕事のことだろう。アルフォンスは正直才能がある、とエドワードは思っている。それをここで殺すようなことを誰がするものか。

エドワードは二つ返事に笑顔も添えて頷いた。







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