「こんばんはー」
「おー、遅かったな!」

平日通いつめた甲斐があったのか、昨日の効果なのか、いつもより家庭的な言葉が返ってきた。いつもの席に座る。見知らぬ顔が二人、奥の方にいるが本を読みながらだったり、スケッチブックをてにしていたりと、個人的に楽しんでいるようだ。

「今日はいつもより仕事が多くて…また持ち帰りです。」
「ん…?、それって変じゃねぇ?普通そんな量、個人にやらせねーぞ?」

昨日みた内容も部署の殆どといっていい処理内容だった。それで今日の方が多い?それじゃあ部署のデータ処理全部丸投げされてんじゃねぇのか?

「お前完璧、丸投げされてんぞ。」
「え!…これが普通かと…」
「普通だったらそれの4分の1ってとこだな」
「そ、そんなぁ…」

慰めるようにいつもの珈琲とスコーンを出してやるとがっくりと項垂れたまま珈琲を啜る。絶対耳が垂れてる。なんてつい想像しながらその光景を見るも、このままでいいわけがない。

アルフォンスが気付いたところで一番下がとやかく言うことも出来ないだろう。これはなにかしら、てをうたなければ。

「よし、パソコン貸せ。」
「え、はい。」









いいか?そのまま提出するんだぞ!

にやにやと笑うエドワードさんの顔を思い出しながら帰宅する。1日帰らなかっただけなのに、なんだか久しぶりに帰るみたいだ。

扉を開けると、しん、と静まり返った暗闇があるだけで。手元のスイッチで照明をつける。何も変わっていない、いつもの部屋なのに、何故だか虚しさが込み上げてくる。

ちらりと、昨日の事が頭に浮かんで余計に虚しくなる。そういえば連絡先も聞いていない。それとも全て営業の一貫で、プライベートな付き合いはしない人なのだろうか。

もやもやとしたものが胸のあたりをざわついて、やるせない。

そんな気持ちを流すようにバスルームに入った。









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