「あのねカルテっ、フレンは絶対にカルテを一人にしないよ! 約束っ!」
そういってフレンが右手の小指をちょこんと前に出したので、カルテは無表情でその小指を見つめた。
「あれ、もしかして指切り知らない?」
素直に頷く。
するとフレンはカルテの右手をとり、互いの小指を絡ませた。
そして軽快な声で唄いはじめた。
「ゆーびきーりげんまん、うーそついたらはりせーんぼんのーます! ゆーびきった!」
小指が離れる。
訳も分からずなすがままになっていたカルテは、不思議そうに首を傾げたが、満面の笑みを浮かべるフレンを見てぽつりと漏らした。
「……嘘ついたら針千本飲むのか」
「うっ!? そ、それはたとえであって、本当には飲まないけど、そう思えば嘘を吐くこともないっていうか、えーと、うんと、つまり……」
「……よくわからないけど、なんとなくわかった」
「ほ、本当? 良かったぁ〜」
安心したように胸を撫で下ろすと、再びカルテの手をとって、顔を近づけた。
「約束だよ、フレンは絶対に、カルテのことをひとりぼっちになんてしないよ、絶対!」
カルテの金色の瞳を真っ直ぐ見つめて、フレンは一言一言を大切にするように、はっきりと言った。
前編/終
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