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※物間くんに対して少し辛辣です。



『さァ上げてけ鬨の声!血で血を洗う雄英の合戦が今!狼煙を上げる!!』

 15分が立った。騎手に爆豪くん、前騎馬に切島くん、後ろに私と瀬呂くんの騎馬だ。持ちポイントは750。緑谷くん達に次ぐ高ポイントだ。

『いくぜ!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』

 残虐バトルロイヤルて。

『3!2!1!……START!!』

 うちのリーダー、爆豪くんの狙いは一つ。1000万Pだ。まあ、どうせ勝つなら完膚無きまでの一位を狙ってもいいよね。爆豪くんをほんの少しだけ軽くして、全員に身体強化をかける。

「うお!すげえ!」
「爆豪くん、個性強化かけてもいける?」
「秒で対応したらァ!舐めんな!」
「おっけー、いくよ」

 腕を伸ばしてぽん、と分厚いてのひらにタッチして、強化する。ぐっ、ぐっ、と二度手を握った爆豪くんは、かなり凶悪な笑みを披露した。腕も強めに強化したので、爆破の反動にも耐えれるだろう。

「わあ、緑谷くん飛んでる〜」
「追え!」

 お茶子ちゃんと常闇くん、それからなんかメタリック?スチームパンク?な女の子。アイテムいっぱい背負ってるしサポート科かな。ぼわ、と浮かび上がった四人を追いかける。ダークシャドウくん、超強いな。

「緩名、俺を軽くしろ!」
「ふぁい」

 対峙していた障子くん達から逃げて再び浮かび上がった緑谷くん達を、爆豪くんが追いかける。騎馬から一人飛び上がって、緑谷くんに迫った。

「調子乗ってんじゃねェぞクソが!」
「常闇くんっ!」

 爆破をダークシャドウくんに防がれた爆豪くんを、瀬呂くんのテープが引き戻した。ナイスキャッチ!

『おおおおお!?騎馬から離れたぞ!?良いのかアレ!?』
「テクニカルなのでオッケー!地面に足ついてたらダメだったけど!」

 技術点か芸術点欲しいところだね!爆豪くんの体勢を整えて、再び緑谷くん達に行こうとした瞬間、後ろから迫る足音が聞こえた。

「っ爆豪くん!」
「単純なんだよ。A組」

 B組の……誰か分かんないけど、金髪の人が爆豪くんのハチマキを一斉に攫って行った。やられた!

「んだてめェコラ返せ殺すぞ!」
「ミッドナイトが第一種目と言った時点で、予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいと思わない?」
「!?」
「だからおおよその目安を仮定しその順位以下にならないよう予選を走ってさ。後方からライバルになる者たちの個性や性格を観察させてもらった」
「粘着ストーカータイプだ……」
「その場限りの優位に執着したって仕方ないだろう?」

 クラスぐるみで第二種目への工作中だったってわけね。へー。まあ戦略も大事だよね。ストラテジーストラテジー。B組の他の騎馬も、出向いてやってくる。仲良しじゃん。

「まあ全員の総意ってわけじゃないけど良い案だろ?人参ぶら下げた馬みたいに仮初の頂点を狙うよりさ」

 わあ、めっちゃ煽ってくる。そして爆豪くんは煽られてる。もうね、怒りのオーラがひしひしと伝わってくる。

「「ヘドロ事件」の被害者!今度参考に聞かせてよ。年に一度敵に襲われる気持ちってのをさ」
「うわあ……」

 すごい、典型的な嫌な人だ。ステレオタイプすぎてレアじゃん。

「ヒーロー志望なのに敵被害揶揄するのやっば……B組の先生って何教えてるの?っていうかUSJの事件を目立てる機会と思ってそうな所で先ず倫理観死んでそ〜。クラス全員倫理観死んでるの?目の前で知り合いが大怪我合った人にねえねえ今どんな気持ち!?って聞いちゃうネットの囃し立てタイプ?」
「……なに?」
「おい、緩名……」

 爆豪くんも爆発寸前ビッキビキだし、金髪の人も私の言葉に苛立った様子を見せる。瀬呂くんに窘められるけど、止めるつもりはない。私も別に沸点高くはないし、イイ性格をしてる自覚もある。中身は大人?見た目が子どもなので許されます!

「切島……予定変更だ。デクの前に、コイツら全員殺そう……!」
「素敵!賛成!」

 目標変更。ぶちのめす!



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