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「あんま煽んなよ物間!同じ土俵だぞそれ」
「ああそうだね、ヒーローらしくないし……よく聞くもんね。恨みを買ってしまったヒーローが敵に仕返しされる話」
「あ、敵って自分のこと?確かに逆恨み酷い性格してそ〜だもんね!」
「……さっきから何なのかなぁ、君」
「そもそも同じ土俵でもなくない?判官贔屓が過ぎる気がするなあ。一方的に競技に関係ない言葉で突っかかってきて挙句の果てには事件揶揄!敵犯罪を自分達が目立つための手段としてしか扱ってないよね。敵に襲われた人は、目立ちたいから、好きで襲われたと思ってるの?」

 B組の人達の顔色が曇る。高校生相手に酷いこと言ってるな〜とは思うんだけど、煽り合いならこれくらいは許される?

「緩名、」
「ヒーロー、あんま向いてないんじゃないかなあ」
「こ、っの……!」

 金髪の人だけじゃなく、騎馬の人達も、その向こうで声をかけてきた女の子達も、表情を変えた。激おこプンプンムカ着火ファイヤーなんだけどマジで。火を付けられたから付け替えした、シンプルでしょ?怒りで我を忘れた人間ほど単純な物はない。その点爆豪くんは常に怒ってる、つまり怒った状態がスタンダードなので関係ないのだ!

「行くぞ切島ァ!」
「爆豪落ち着け!緩名も!冷静になんねェとP取り返せねぇぞ!」
「っし進め切島……!俺は今……すこぶる冷静だ……!」
「私も冷静だー!」
「頼むぞマジで……!」

 怒りに震える爆豪くんの明日はどこへ!


 BOOM!と爆発音が響く。音の主は、爆豪くん、ではない。

「ははぁ……へえ!すごい!良い“個性”だね!」

 ……模倣、コピーかな?だとしたら発動条件は何だろう。

「くそが!!」

 爆発音を鳴らして爆豪くんが殴りかかる。けれどそれは、硬化した腕に止められた。ビンゴ。

「んなああー!俺の!?また被っ……」
「違ぇ、こいつ……」
「コピーかな」
「コピーしやがった」
「正解!まあ馬鹿でもわかるよね」
「おわ!」
「ぎゃっ、べたべた」

 他のB組の人が援軍に来た。ボンドさんらしい。即座に劣化させると、ボロボロ崩れていく。

「あ、怒らないでね?煽ったのは君だろ?ホラ……宣誓で……なんて言ってたっけ?恥ずかしいやつ……えー……ま、いいや、お疲れ」
「んふっ」

 ちょっと笑っちゃった。いや、センスあるじゃん。爆豪くん、怒りすぎて頭の血管切れないか心配。ま、とりあえず今は。

「完膚無きまでの1位だ……!」

 さっさと逃げた金髪の後を追う。時間も結構迫っているが、負ける気はしない。爆豪くんが最早悪鬼羅刹になってるもん。

「ガンガンに個性使うからガンガンに行っていいよ!フォローは瀬呂くんがする!作戦ガンガンいこうぜ!」
「言われなくても……行ったらァ!」

 俺!?と驚く瀬呂くんのリアクションも見ずに、飛び出していった爆豪くん。

「待てえええ!待てって!!」
「しつこいなあ。その粘着質はヒーロー以前に人として」
「勝手すなぁああ爆豪ー!!!」
「いけいけかっちゃん!」

 爆豪くんを応援しながら、特大のデバフをB組の騎馬に投げる。急に重だるくなった身体に、四人が驚いた顔をした。

「っ円場!防壁!」
「っしゃあ……!」

 目がつぶらな人がガードを張った。けど甘い。一度はぶつかったものの修羅と化した爆豪くんはそれを素手でぶち破った。個性使わんのかい。

「取られた!2本!」

 これで3位。でもまだまだ。瀬呂くんがテープで爆豪くんを巻きとる。地味に便利よね。

「飛ぶ時は言えってば!」
「でもこれで通過は確実……」
「まだでしょ!」
「まだだ!」

 相手チームは私の個性が足を引っ張って、その場に二の足を踏んでいる。ここで行かなきゃヒーローが廃る。第一種目では全部手で触れて個性使ってたからね、そういえば。ハンズフリーでも使えるんです。

「行け!俺らのPも取り返して1000万へ行く!!」

 瀬呂くんのテープをフラフラ動くB組の騎馬の斜め前に。外れ?違う違う。

「極限まで軽くするよー!」

 一瞬でいい。全員を私の出来る最大まで軽くして、テープで引っ張る。ぐえ、ちょっとキツ。一瞬で良かった〜。すぐに金髪の騎馬に追いついて、

『爆豪、容赦なしー!』

 私達のPも、取り返した。驚いた顔をする四人に、ベッ、と舌を出しておく。爆豪くんの執念と、一位へのこだわりを甘く見すぎてたね。

『やるなら徹底!彼はアレだな、完璧主義だな!さあもう時間も僅か!』
「次!デクと轟んとこだ!!」

 後20秒。緑谷くんと轟くん……いた!

「あっち!」

 氷で覆われた中へ突撃していく。カウントダウンがされる。爆豪くんが飛び出した。1000万Pがどっちか分からずキョロキョロしてる。いやどっち!?

『Time Up!』

 ズコン、と爆豪くんが落ちた。ドンマイ。ああー惜しかったー。

『早速上位4チーム見てみよか!1位轟チーム!』

 轟くんの方だったか。

『2位、爆豪チーム!』

 爆豪くんがすごーい悔しがっている。私はちょっと眠い。結構ガッツリ個性使ったな〜。まだこの後もあるんだと思うとげっそりしそう。痩せちゃう。たこ焼き食べたい。
 3位は尾白くんと青山くんのいる知らない人のチーム、4位に緑谷くんチーム。残れたんだね、良かった!にしてもほぼA組だ。B組の戦略とはなんだったのか。

『以上4組が最終種目へ……進出だああーーーー!』

 とりあえず、求む、仮眠。



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