砂糖8個







朝からまた、コーヒーを飲んだ。
砂糖8個入り、ミルクもかなり、入ってる





「早川、今日早ぇーじゃねーか」

『トシおはよー。何か昨日眠れなくてさ
そんでもって、トシに相談。
あのねー







……胃もたれ、があの…ですね……』





やばい吐きそうだコレ、やばくないかコレ
内臓的なものが、ねじられてる感じがする





「おまっ…、また朝からあのコーヒー飲んだのかよ…入れすぎだって言ったろ。俺、デブが友達とか何やかんやで嫌だぞ」





あ、晋助と同じこと言ってる





『今日はミルクも入れてまーす。』

「どーでもいーけどよ」





呆れてそう言いながらも、背中をさすってくれる(トシ優しい!)
あー、やっぱ持つべきものは友だわ





「旭、おはようございまさァ」

『総悟くん、おはよ!』

「今日もあの胸くそ悪ィコーヒー飲んだんですかィ」

『胸くそ悪くない!!』




この2人とは、高1からの付き合い
2人ともすっごくたよりになる、大切な 親友




「土方さーん。旭の気分が悪いのをいいことに体に触れないでくだせェ
やっぱり、ムッツリスケベはやることが違いますねィ」

「誰がムッツリスケベだ総悟ォォォォ!!!」

『そっか、トシムッツリスケベなんだ。』

「何で納得してんだお前!!」

「土方さ、あっ間違った。マヨネーズさん、1時間目なんでしたっけ?」

「オイ、今なんで言い直した。必要ねーだろ。間違ってなかっただろ。俺土方だから。マヨネーズさん違うから」

「それより1時間目は?早く言えよ、本当に役に立たねーな、土方コノヤロー」





いつもの、楽しい2人のやりとり
何も変わらないはずなのに、心にぽっかり穴が開いたみたいで




何かが、いつもと違って





『1時間目…ね……数学だよ』





綺麗な綺麗な、晋助の大好きなあの先生の、授業

あ、総悟くんしまった、って顔になってる





「あー、ねみぃ…。


はよ、旭」

『晋、助』





ほら、あの先生の授業があるから
朝から来てる
そんなに、大好きなんだ


あ、ヤバ
泣くかも




「な、早川。宿題、やってねぇ?」




そこに、トシの助け船




『やってるよー、もちろん』

「さすが。数学学年トップ」

『言わないで、それ』




好きで、学年トップなんじゃない
これは、名前先生へのせめてもの反抗なんだから





キーンコーンカーンコーン…


チャイムが鳴って、ハイヒールの音が響く

そして、綺麗なあの人。名前、先生
大好きな晋助の笑顔が、嫌いになる瞬間




「はい、皆教科書出してー」




今日も、すごく綺麗な笑顔で皆に声かける。
優しい先生だって、分かってる



でも、好きにはなれない
その笑顔
晋助が、先生の授業だけ真面目に受けてるって、知ったときの笑顔が、1番イヤな物だった。

しかも何か、晋助のことだけ特別な感じで見てるし




何となく、晋助を見てみた
名前先生の事見つめてる
…悔しいけど、これが日常




『晋助ー、名前先生の授業だからってニヤニヤしないでよねー』

「まじかよ、やべっ」

『へんたーい』

「お前、調子乗んな!」




嘘。だよ
すごい、はにかむみたいな、優しそうな顔して、先生の事見てる。

あたしの大好きな、笑顔
だけどその笑顔は、綺麗なあの先生に向かって、向けられたもの
嫌いだ、なんて勝手かもしれないけど




いやだ、
みてたくない
つらい



心臓が、握りつぶされそう




「旭」

『そ…ご、くん』

「辛そう、でさァ」

『そ、んな…事ないよ?』




やだ、
何で気付くの?




「早川さん?
どうしたの…?顔色、悪いわ」




名前先生が、心配そうに言う
気づかないでよ


晋助も、その声で私の方を見た




『何でも…ありません』




その後、先生の授業の内容なんて、入ってこなかった。

ノートだって、適当にとっていたようだ。




「じゃぁ、期末も近いから、皆しっかり勉強してね!
じゃあ、終わります」




キーンコーンカーンコーン…


授業が終わった後、机に思い切り突っ伏した。

あーもうヤダ。
帰りたい、泣きたい


ペチ、ペチ、ペチ


総悟くんが、私の頭を雑誌か何かで叩いているようだ。
本当にドSだなー




「旭、どうしたんでィ、さっきの授業」




本当に、どうしたんだろ
あんな事、今に始まった事じゃないのに




『コーヒー切れ。』




かも。
机に突っ伏したまま言った。
そのまま、視線をトシの方へ向ける。




「…買ってこいってか。」




トシは盛大にため息を吐いた。
けど、あたしの頭をわしゃわしゃ撫でて言った。




「昼休みにな」

『やった!トシ、大好き!!』

「単純」




単純で、いいよ。単純の方がいい
何も考えないで、楽に過ごせるなら


窓から見える景色は、すっかり夏のもので




『もー、夏休みだぁ…』




誰かに話しかけるわけでもなく、呟いてみる
後ろの席の晋助に、聞いててほしい




『海、行きたい』




晋助と、一緒に






砂糖8個
(入れすぎだ、って笑う顔も好きで)










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