前髪のこと


「待って! その髪型で行くの!? ありえない! 前髪くらい切りなさい!」
「ええ?」
声をかけるとガッと前髪を掴まれた。紅子の右手には鋏があった。
「え? どうして?」
「その長たらしい前髪で誰と目を合わせられるっていうの? 大事な日にはちゃんとした格好をする!」
「うん……ごめん……、切ってもらってもいいかな」
前髪を気にしたことはなかった。邪魔だと感じた時に切るくらいだった。

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