摩天楼にて晩餐

煌びやかなパーティーホールには華やかな服装をした人間はいなかった。煌びやかとはかけ離れた強面の人間ばかりがひしめき合っていた。
會長は紅灯商会の会長と睨み合っているし、紅灯商会の奴らは美人も多いけど睨んできて怖かった。突然集められて「殺しあえ」と言われた俺には目の前のローストビーフを頬張ることしかできなかった。
「なんでこんなことになってるん」
「さ? お偉方の考えは分からん」
鶯さんに問うても答えはわからなかった。横では竹千代ちゃんが氷をモソモソと食べていた。
「ローストビーフめっちゃうまいけど……これが最期の晩餐になったら嫌やなぁ」
「そうならんよう頑張りや」
「今日ろくな武器持ってへんわ」
「御愁傷様」
杏仁豆腐を食べながら鶯さんが笑った。いざとなったら鶯さんの後ろに隠れようと決めた。無いよかマシやとテーブルに置かれたナイフを幾つか懐に忍ばせた。ついでにフォークでも持ってくか。どっかの漫画でフォークで戦う執事がおったなぁとどうでもいいことを思い出した。
「とにかく生き残ればええんやな?」
「俺の後ろに隠れよなんて思うなよ」
「ややなぁ、そんなこと考えてるように見える?」
「見える」
ルールの確認をすると鶯さんに睨まれた。どうやら見透かされていたようだった。地上に降りた者勝ちなら、どうやって降りて行こうか。エレベーターか階段か。いっそ全部の床をすり抜けてしまえば早いやんな。ただすり抜けることにびびってしまったら即お陀仏だ。スタートダッシュかのんびり行くか、ローストビーフを食べ終えてから考えよう。

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