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「・・・・・・寂しい。」


「さち?どうしたの?」


現在部活の真っ最中である。
翔ちゃんがいない・・・!!!

「翔ちゃんがいない・・・寂しい・・・」
「・・・・・・あ、そう・・・」
「潔子ちゃんが冷たい・・・」
「あ、仁花ちゃん、あのね・・・」


無視されたぁぁ!!
いいんだいいんだ・・・。こうやって寂しがってる間にすぐ帰ってくるし!何なら家にいるし!いいんだけど、なんかさ、こう・・・何て言えばいいのかな。巣立った?感が!!でも応援するしか無いし。
・・・欲を言えば白鳥沢に行きたいなぁ。でも私まで行ったら絶対怒られるし大体入れて貰え無いだろうし・・・。


はー・・・翔ちゃん頑張ってるかな・・・

「さち」
「はいっ?」
「今日、一緒に帰らないか?」
「わ、うん!帰る!!」
「ん、じゃあ約束な」
「うん!!」


はー・・・一緒に帰ろうって言う時に一々ちょっと照れる大地くんが可愛い・・・。最近萌えが少ないせいでコレだけが唯一の楽しみだわ・・・。コレ呼ばわり・・・傲慢な私・・・ごめんね大地くん・・・。




その日の練習終わり、自主練の時間。
珍しくコーチがずっと残ってる。

「!烏養くんまだいらっしゃいましたか!!」
「!先生どうだった?!」
「OKです!!」
「マジか!よかった!」
「新山工業はやはりインフルエンザだそうでーーー」

おぉこれはアレだー!
伊達工との練習試合決まったんだー!良かったー!!楽しみだなぁ〜!この試合で、また皆の成長が見られるのだ!その前に翔ちゃん達帰ってくるしー!なぁんだ楽しみだらけじゃーん!





「ーーーと、いうわけで元気になったのさ!」
「・・・1年達好き過ぎだろ・・・」
「我が子のようなものですからね!」

と、いうわけで大地くんとの帰り道である。どうやら元気無さそうで気になったので声をかけてくれたらしい。なんという優しさ・・・!出来た人ですよ本当に。こんなどうでもいい内容で落ち込んでたとか言われたら私だったら怒るわ・・・。

そんなお話をしながら自宅へ帰る。
練習試合の話、翔ちゃんにしたら喜ぶだろうなぁとウキウキしていると、

「もうすぐクリスマスかー・・・」
という大地くんの一言で現実に戻される。



そうだよクリスマス・・・!!!
すっかり忘れてた!とはいえ部活だしなぁ。

「部活だねぇ・・・」
「そうだな。ま、でも一緒に帰ろうぜ」
「うん!勿論!!」
「・・・ん。」


あ、優しい目だ。
好きだなぁ、としみじみ・・・浸ってる場合じゃないわ!
クリスマス、大地くんは家で何かやるのか聞いたが、特に何もせず親の買ってきたケーキ食べるくらいだとの事。しかも今年はご両親がお犬様も連れて旅行に行っているらしく、1人だそうで。

「・・・もし良かったら、ウチ来る?」
「エッ?!」
「私、毎年ケーキ焼いて、お母さんと一緒に食べきれないくらいの料理作るから、大地くん1人増えても全然平気だよ。」
「いや、でも家族水入らずだろ?」
「え、気にしないでよー!翔ちゃんも夏ちゃんも喜ぶと思うよ!夏ちゃんなんか特に」
「そうか・・・お邪魔でなければ呼ばれようかな。」
「わかったー!楽しみだね!!」

クリスマスに1人飯は寂しいもんね!楽しみだなぁ〜!大地くんへのクリスマスプレゼント、どうしようかなぁ。そんなに豪華なものはあげられないし、手作り・・・はご飯とケーキで精一杯だし。
なんか買いに行こう!と意気込んでるうちに家に着いてしまった。
最近家まで送ってくれるんですよ遠いのに!!
いつも断るんだけど意外と強引でして、折れてくれない。早く帰って疲れを取ってほしいと言っても無駄だった。・・・と、言いつつ実は送ってくれる事が嬉しくてあまり強く言え無いこの乙女心め・・・!!傲慢・・・私ダメな奴・・・!



「じゃあ、いつも送ってくれてありがとう。大地くんも、早く帰って、風邪引かないようにしてね!!」
「はは、大丈夫だよ。」
「本当にありがとう、気をつけてね、また明日ね!!」
「ん、おやすみ。」
「うん!おやすみ!!」

そのまま踵を返し、2、3歩進んだ大地くんは、小さい声で「あ。」と、何かに気付いたかのように立ち止まる。きょろりと周りを見渡したかと思うと、こちらに戻ってくる。
何かあったのかな、と首を傾げていると、







ちゅ






「・・・オヤスミ」




ふ、と優しく微笑んで、今度こそそのまま去っていく大地くん。

「っ!お、おやっ・・・おやすみ・・・」

思ってた以上に小さい声だったけど、聞こえたらしく、振り返って手を振ってくれた。
後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから、家に入る。
速攻で自室に向かいボスッと頭からベッドに倒れこむ。



・・・・・・何だあれ!!何なの!!格好良過ぎか!!ちょっと小慣れてきてませんか?!ねぇ!!何あの余裕の笑みは!!

「・・・・・・ずるい・・・」


胸が苦しい。心臓がおかしくなりそうな程ドキドキうるさい。翻弄されっぱなしだ!
あぁぁぁ・・・もう!もう駄目だ!好きだ!!本当に、好きだ・・・
好きすぎて怖くなる。
いつか・・・もし、彼の気持ちが離れてしまったらと思うと怖い。幸せだから、怖くなる。
それぐらい大好きなんだよ、大地くん・・・






ベッドでジタバタしてたらご飯のため呼びに来た夏ちゃんに不審な目で見られたのはまた、別の話。





















「お母さん、お姉ちゃん顔真っ赤でバタバタしてたー」
「あらあら、彼氏と何かあったのかしらねぇ〜」
「ブーーー!!」
「ちょっとお父さん汚い!」
「げほっげほっ!ちょっ、ま、っ!!か、かれ?!」
「お父さん煩い」



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