3
 

「翔ちゃん、支度できた?」
「うん!お待たせ〜!」
「わぁ格好良い!!」
「そ、そう?うへへ・・」
「じゃあ行ってきまーす。」
「いってらっしゃい、気を付けてね!」


という訳で夏祭りである。
夏ちゃんも一緒なのだ。私は紺色で、白と赤の牡丹柄。夏ちゃんは色違いで、白地に黄色と赤の牡丹柄。翔ちゃんは、濃紺で矢羽根柄。・・・いや、翔ちゃんにもお揃いが良かったんだけど、流石にそれは拒否された・・・ちぇっ。小さい頃は喜んでくれたのにぃ〜。いいもん夏ちゃんがいるさ!ちなみに髪型もアップにして、髪飾りもお揃いだ。翔ちゃんの小さい頃を思い出すなぁ。私の小さい頃にも似てるって言われて、それもまた嬉しいなぁ!こんなに可愛いくは無かったと思いますよ!今思うと妙に大人ぶった子供だった気がする・・・。


夏ちゃんを真ん中に、3人で並んで歩く。翔ちゃんの脳内は既に屋台でいっぱいらしくアレ食べるコレ食べるとはしゃいでる。夏ちゃんは翔ちゃんが何か言う度に「夏も食べる!夏もやる!」と忙しい。

あぁぁあ可愛いなぁ可愛いなぁ。
顔面だるだるに崩壊してようが可愛いものは正義である。何なのお手て繋いでさぁっ!仲良しなんだからーもうっ!!・・・危ないからって繋がせたのは私ですけどね!

「姉ちゃん早くーっ」
「はいはい、2人共コケちゃだめだよ。」

「あっいたー!」
神社の近く、集合場所にはもう皆揃っていた。やっぱ月島来なかったか。・・・えっ!!か、影山がいる・・・!!あれっジャージ・・・あー成る程あの顔はお腹減ったんだな・・・ランニング中匂いに釣られて来たと見た。ぶふっめっちゃ屋台見てる・・・と、翔ちゃんが走って行ってしまったので、私は夏ちゃんと手を繋ぐ。

「お待たせしました!」
「いや、まだ5分前だし大丈夫だよって・・・うおっひなちゃん妹?!」
「そうだよー。はい、ご挨拶。」
とん、と背中を押して夏ちゃんを前にする。
「日向夏です!!」
にぱっと笑顔で大きい声でご挨拶出来ました!くは〜可愛いなぁ可愛いなぁ!

「うわーひなちゃんそっくり!!日向にも似てる?しかも浴衣もお揃い?いいなぁ可愛い!!こうしお兄ちゃんだよ〜」
「ありがと〜!」
スガちゃんってこう褒めたりするの、自然にスマートだよねぇ。で、他の人達〜って田中とノヤは涙流して喜んでおる。あっ気付いたかな?
「「さちさんチィース!って小さくなってる?!」」
「そこの2年コンビ態とだろ・・・って・・・の、ノヤっさんっ・・・その格好・・・!!」
「?」

なんと・・・!!甚平・・・!甚平・・・!これは予想外・・・!!こ、この子私の萌えツボ制覇する気?!恐ろしい子!!
「格好いい格好いい!!(ぐわあぁぁあ可愛い可愛いー!!甚平!可愛いぃぃぃい!!!!)」パシャパシャ
「そーっスか?!動きやすいっスから!」
「似合う似合う!」パシャパシャ
「・・・あぁ・・・さちさんのメーター壊れた・・・」
「縁下何か言った?」
「イエ・・・」
「やだ縁下ったら和風顔だから浴衣似合うじゃない!イケメン!」
「(和風?)ドウモ・・・」パシャパシャ

カメラ持って来て良かったー!!!


「あっおひめさま!!」
夏ちゃんがキラキラした眼差しを向けると、そこには白地に薄い青色の菖蒲の花柄の潔子ちゃんが!

ふおお・・・ふつくしい・・・!!!

「潔子ちゃん綺麗!!うわぁやっちゃんも可愛い〜!」パシャッ
私、許可も得ずにもはや盗撮である。気にしない!

やっちゃんは薄いピンクに黄色い手毬柄ですごくよく似合ってる!!

「・・・ありがとう。さちも、夏ちゃんとお揃いで可愛い。」
「ありがとう〜!!」

いやマジで可愛いこの2人!!!田中とノヤに護衛させねば!!パッと2人を見ると無言で首を縦にふられた。わかってらっしゃる。まぁ他にも2年もいるし大丈夫だろう、うん。

ふいに横を見ると、大地くんとばちっと目が合う。




ひえぇぇぇぇか、格好良い・・・!!!!

大地くんは紺色浴衣。東峰が臙脂色だ。・・・東峰はどう見ても20代後半だ。何も言うまい。

それより大地くんが格好良いですけど!!似合うなぁ浴衣!!

「・・・おす。」
「ど、どうも〜」

何だこの他人行儀な挨拶は。ま、まぁ他人ですけど!!

「あ〜、妹・・・夏ちゃん?さちに似てるなぁ。」
「あっ、そっ、そう?!翔ちゃんの小さい頃にも似ててね、可愛いでしょ〜!」

「うん、さちに似て可愛いな」
「!!!」


夏ちゃんに目線を合わせるよう屈み、大地お兄ちゃんだぞーと自己紹介している。いや、いやいや待て今の可愛いは夏ちゃんだ落ち着け私!!こ、この天然タラし発言勘弁して・・・!!!



「おーいそこのお2人さん、行こうぜー!」


「おう。じゃ、行くか。」
「あっ、うん!」



夏、大地お兄ちゃんと手繋ぐ〜とご機嫌だ。

和太鼓演奏までまだ時間もあるので、適当にブラブラ。
夏ちゃんにわたあめ買ったり、一緒にたこ焼き食べてると射的に人だかり。

・・・あ、翔ちゃんと影山が勝負してる。「クソっもっかい!!」
うん、翔ちゃん負けとる。お小遣い無くなる前にやめなさいよーと声かけしておく。

と、今度は金魚すくいのところ。こちらでは東峰とスガちゃんが勝負中だ。
夏ちゃんもやりたいって言うので足を止める。

「スガちゃんうまっ!!」

めっちゃ入ってる!金魚だらけだ。
「・・・旭くん、そんな顔してたら金魚も怖がるよ・・・」
「?!」
「ブフッ」
あ、破れた。イエーイ俺の勝ちー!ってここも勝負してたのか!

夏ちゃんは金魚を見つめて爛々と目が輝いている。
「お姉ちゃん、とれたら持って帰っていい?」
「ん〜そうだなぁ、ちゃんとお世話するならいいよ。」
「やったぁ!!夏ね!黒いのと赤いの欲しい〜!」
「じゃあ頑張ろうね!」

とはいうものの出目金が元気だ、そして出目金すくうの苦手なんだよなぁ・・・。


「・・・・・・あ。」
「・・・・・・・・・ふ、」
「ちょ、今大地くん笑ったでしょ!」
「ふはっ・・・い、いや悪いお前にも苦手なものあったんだなぁ〜っと。ポイ破けるの夏ちゃんより早ぇし」

は、恥ずかしい!!出目金だけ狙っただけだし!長生きするよう元気なやつ選んだだけだし!くそうニヤニヤしおって!!

「あーっ!」
どうやら夏ちゃんも終了したようだ。
夏ちゃんは赤金魚が二匹。この子達は元気そうだし病気も無さそうだから持って帰る事に。
金魚の尻尾は要観察です!白点病や尾腐れ病などが無いかは素人でも確認可能ですよ!何の知識・・・。

「・・・黒い金魚・・・もう一回やっていい?」
「ん〜・・・」
うーんスガちゃんに貰っ・・・あー全部返してどっか行っちゃったかぁ。あっ!!

「はい大地くんどーぞ。」
「俺?!」
「がんばれ!!出目金ね!!よかったね大地お兄ちゃんがとってくれるって!」
「ほんと?!お兄ちゃん頑張って!!夏ね、あの子がいい!!」

どうだ夏ちゃんの頑張って攻撃!!可愛いだろ!断れ無いだろー!!夏ちゃんのキラッキラの瞳に負けた大地くんが金魚すくいチャレンジしてると、スガちゃんが戻ってきた。

「夏ちゃーんかき氷いる?」
「いる!!」

「わぁごめんスガちゃんいくらだった?」
「いいってこれぐらい。夏ちゃんうめぇ?」
「うん!美味しい!!こーしお兄ちゃんありがとう!!」
「・・・・・・何この子可愛い・・・」
「そうでしょうそうでしょう。」

どうやらスガちゃん、夏ちゃんにメロメロのようだ。あの人は旭おじさんだよーとか言ってる。さりげなく鬼畜。

「あさひ・・・エースだ!!」
「え?!」
「お兄ちゃんが言ってた!えーすだって!かっこいいんだせーって!」
「うわぁそ、そんな格好いいなんてそんな事ないよ!」
「夏!お前わかってんじゃねぇか!潔子さんはお姫様だし旭さんはエースで間違い無い!旭さんももっと堂々としてりゃいーんスよ!」
「あっう、うん、ごめん」

ノヤっさん・・・夏ちゃんは後輩じゃないんだけど?・・・つうか夏ちゃんとノヤっさんのツーショットとかめっちゃ可愛い!写真撮っとこ。





「・・・・・・・・・あっ!!」
「ぶふっ!」
「・・・さち」
「だ、だってそれ2回目・・・!!」
「クソっ次!絶対とる!!」

大地くんがムキになってて可愛いなぁ。腕捲りしてるし。ふふふっ
隣にしゃがんでポイの行方を見守る。

と、まさかの奇跡!!


「っしゃあ!!」
「うわぁ取れた!!夏ー!夏ちゃーーん!!」

大地お兄ちゃんが、黒いのとったーー!」
「ええぇーー!!すごーーーい!!うわぁ!!」

パアアァァァァッと満面の笑みになる夏ちゃん。

「おぉ、すげぇ、スパイク決まったときの日向そっくり。」

「すごいすごい!しかも二匹いっぺんに取った!何者!!」
「ははっ!おじさん、黒いの二匹貰える?その子の袋に入れてやって。」
「えっいいの?!」
「おう、その為に頑張ったんだしな。」
「神か!!良かったねぇ夏ちゃん!!」
「うはーーっ!大地お兄ちゃんありがと!!!」

キャーキャー喜ぶ夏ちゃん。本当嬉しそうだなぁ。

「大地くん。本当にありがとう」
「いや、いいよ。でもほんと可愛いな。さちが可愛がる理由、良くわかるよ。俺も兄弟欲しかったな。」
夏ちゃんの頭を撫でながら、優しい表情で話す大地くん。
「大地お兄ちゃん、きょうだい居ないの?」
「んー?そう、1人だよ。夏ちゃんみたいな妹欲しかったなぁ。」


「じゃあお姉ちゃんとケッコンしたらいいよ!!」




はぇ?!?!

ぶわっと顔に熱が集まる。大地くんはさっきまで手を動かしてたのに、ピシリと固まっている。

「な、なつ、っな、なっちゃん何を?!?!」

「えーだってお母さんが言ってたよー。お姉ちゃんが、だれかとケッコンしたら、夏はその人の妹になるんだよって!だから、ケッコンしたら夏、妹になれるよ!!」

ニコニコと語る夏ちゃん。ひいぃぃお母さんなんてこと言ってんの?!そりゃそーだけど!っていうかどーなってそんな話になったの誰か解説プリーズ!!!


「あっ、そ、そうかそういう事か!!よく知ってんな〜偉い偉い。じゃあお兄さんが良い事教えてあげよう。」

そう言ってしゃがんで夏ちゃんに内緒話する。

な、何?!何なの?!

ふんふん聞いてた夏ちゃんがくすくすと笑う。

えぇえー・・・

「お姉ちゃんには内緒だぞ。」
「うん!」
「いや何で?!気になるんだけど!!」
「夏もお兄ちゃんに良い事教えたげるー。」
「えっ無視?!」
今度は夏ちゃんが内緒話をして、
聞いてる大地くんがくすりと笑う。

「お姉ちゃんには内緒ね!」
「おう、ありがとうな!」
「えへへー」

エェェェェ何この2人・・・


「・・・いいもん。」
むむむ〜!!と眉間に皺を寄せていると、夏ちゃんはそのままエースーっと叫びながら走って東峰に突撃して行った。ゴフッと聞こえたような。大地くんは、さっと立ち上がって振り向くと、また、優しい顔で笑った。

「まぁそうスネるなって。そういや、浴衣、可愛いな。すげー似合ってる。」

「へぁ?!えっ!あ、あり、ありがと・・う。」
「おぅ、さ、そろそろ演奏の時間だし、いこうぜ。」
「うん、あの、だ、大地くんも似合ってて格好良いよ!」
「おっ?!おう、さんきゅ。」


か、可愛いって言われた・・・!!う、嬉しい・・・っていやいや、え、えええ?待って!もうまったく意味がわからない!!!

「ーーっと危ね」
グイっと腕を引かれたと思ったら目の前に胸板が!
ぎゃあ!!と固まってると、人増えてきたなーと言いながらそのままするりと手を取られ・・・手?!

とパニックになってる間にぐいぐい引っ張られ、皆と合流したとこでするりと何事も無かったかのように離された。
・・・いやうん、連れて来てくれただけですよね、そうですね。あ、暑いわ顔が!!

・・・でも、いつか、こうやって2人で来れたらいいな、なんて思った。



その後はもう素晴らしく格好いい冴子さん率いる和太鼓の演奏を堪能!夏ちゃんは東峰に肩車されて超ご機嫌だった。え、勿論写真撮ったわよ・・・ふふふ・・・お子さん増えましたねーと皆にからかわれてたけど、子供に懐かれるのは嬉しかったようでニコニコしてたので良い写真が撮れたわ!うひひひ。

そして、そのまま花火を見て解散。
疲れ切った夏ちゃんは寝てしまったので、翔ちゃんがおんぶして帰りました。
帰り道は、翔ちゃんと影山の勝負の内容を聞いたり。

疲れたけど、また、1つ夏の思い出が出来た。


帰って金魚を水槽に入れる。明日、帰りに餌とか買って来なきゃ。

仲良く長生きしてくれますように。




















「お兄ちゃんな、本当に夏ちゃんが妹になったらいいなって思うし、お姉ちゃんの事好きだけどまだ言ってないからな、応援してくれよな。」

「お姉ちゃんにね、可愛いって言ったり、大好きって言ったらすごーく嬉しそうにするんだよ!後ね、将来の夢はしあわせなお嫁さんなんだって!夏、大地お兄ちゃんのこと応援するよ!」


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