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第2試合、烏野対伊達工。

体育館入り口で青根くんにペコリされて主将さんに「先程はすみませんでしたあぁぁぁ!!」と全力で謝罪された。アッそうだこういう人だった!!
いえいえーこちらこそすみません、お互い頑張りましょう、なんて答えて入った体育館。

正に伊達工一色だった。


何なの前より応援凄く無い?!あっ一年生か!めっちゃ入部してる羨ましい・・・!!
じーっと見ていると、一際目立つ大きな声を出している特徴的な髪型の子。えーっと確か黄金川くんだ!おぉ、ちゃんと居たんだー!!なんか翔陽と似た感じだよね、下手だけど一生懸命で、言われた事をちゃんとやるけどちょっとアホな子で可愛いんだ。・・・全力で応援してるのも可愛いなぁ。
こういうのを見つけると何だか嬉しくなるなぁ、なんて呑気な事を思ってた意識を烏野に向けると、
この空気に呑まれてはいけませんね、なんて話すコーチと先生。って1番呑まれてる気が!!

「コーチ!いつも以上に顔が怖いですよー」
「あぁ?!」
「ほら伊達工の1番たっつぁんさんにそっくりと思いません?」
「あ?って髪型だけじゃねーか!・・・は〜・・・なんかお前と話すと疲れる・・・」
失礼な!まぁいい具合に?力が抜けたようで良かった良かった!という事にしとこう。

ピーーという笛の音と共に公式WU開始だ。
レシーブ練習を始めた直後


「んローリングサンダァァァ アゲインッ!」

くるんっ


西谷アゲインきたぁぁぁぁぁぁーーー!!!!
いやこれ想像以上に大声で言ってるし!そんで前のとどこが違うんだ?!間近で見てもわからない!
「ふ、ふふふふっ」

あぁ、一気に空気がいつものように変わるのがわかる。

だんっと足を振り下ろすと、

「よっしゃあ!!心配することなんか何も無ぇ!!皆、前だけ見てけよォ!!」


「背中は俺が」

「護ってやるぜ」





かっ




かっ






かっこいいぃぃ〜〜〜!!!!!!!!



ぎゃああああ!!これは惚れる!!!惚れるわ!乙女心鷲掴みだわ!!!ズギューーンくるわ!
うわぁあああああ!何という頼もしさ!!かっこいいい!!!

「今ならノヤっさんに抱かれてもいいわ・・・」
「うわぁ・・・」

つい口に出したらツッキーに凄い引かれた。

「ツッキーもそう思わない?!」
「思いません。」
「えーテレなくていいのに。」

おおぅ・・・スッゲー上から見下された・・・。ツッキーのデレは何処へ・・・

いやまぁ冗談だけどね!でもそんくらい格好良いって事よ!



そして、試合開始である。今回は私がベンチだ。

序盤はやはり向こうのリードブロックが凄くて止められたり、気持ちよく決まる事が無かった。一通り打たせて影山もわかったんだろう。伊達工ってブロックだけって見られがちだけど、基本的に全てにおいてレベルが高い。青根くん早い。前より早い気がする。・・・と、ここまでは烏野劣勢に見えている筈だ。

「先生口元緩んでますよ」
「日向さんこそ」

んふふふ・・・さぁ、変人速攻だ!

田中がレシーブして、綺麗にセッターに返っていく。「行けっ」小さく呟くと同時にドンッとボールが床に叩きつけられる音。そして一瞬の静寂。

「何だ今のおォォォォ!!」

ギャラリーがどぉっと湧く。

「先生ぃいい!口元緩んでますよおぉう!!!」
「日向さんこそおおぉぉぉ!!」


っしゃあー!っと武田先生とハイタッチ!!何この爽快感?してやったり感?たまらん!影山の翔陽使い所が良いよね!
っとは言ってもまだまだ「マグレじゃね?」感が漂ってる。違うんだよな〜!
再び翔陽が前衛へ。そして、今度はネットインしたボールをノヤが上げる。真っ直ぐセッターには返らなかったボールも、影山の手から翔陽のところまでダイレクトにトスが上がり、再び変人速攻が決まる。ここで、伊達工から一度目のタイムアウトが入る。
ドリンク、タオルを配っていく。
「翔ちゃんやったね!凄いね!」
タオルを渡したついでに、そのままタオル越しに頭をわしゃわしゃ撫でる。
「わ、ぅわぁっ。へへへっ」
ちょっと照れたようにふにゃりと笑う。

KA・WA・I・I !!

いかん顔が崩壊する。


「影山、身体何とも無い?」
「?」
「速攻のとき、身体捻ってたから。何とも無いならいいけど、気をつけてね。」
「・・・ッス」
「じゃー頑張って翔ちゃん目立たせてね!
・・・旭くんに、壁の向こう側の景色を見せてあげてね。」
コクリと頷く影山。

翔陽を目立たせる。
最強の囮を。


エースの前の道を切り開いてね。



試合は進む。

青根くん凄いな。翔陽についていく。
そして、翔陽が止められ、そのままコートにボールが落ちるーーーー
「っ!ノヤっ!!!!」
落ちると思われたボールを西谷が繋ぐ。
「持って来ォォい!!」
翔陽が、叫ぶ。ブロックが、飛ぶ。トスが、上がる。

東峰へ、上がる。
道が、開いた。

ズドンという音と共に、相手コートに強烈なスパイクが相手コートへ。

「っしゃあああ!!」
ガタッと、つい立ち上がってしまう。
と、思ったらコーチも立ち上がっていて、思わずバチンとハイタッチしてしまう。
そして、振り返ってスガちゃんと目が会う。
最高の笑顔でサムズアップした。

「こっからが正念場だぞ・・・」
コーチが呟く。

けれど、それからもノってきた烏野。再び東峰のスパイクが決まり、第1セットは烏野が獲ることが出来た。






そして、第2セットが始まる。


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