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さて合宿も2日目である。
誰よりも早く起きなければいけない。それがマネである。
朝ごはん、今日は和食だ。ご飯に味噌汁、焼き魚、納豆、出汁巻、ほうれん草の胡麻和え。
ザ・朝食である。
足りないとアレなのでフルーツもあるよ!
前日に作り起きできるものが多いので、盛り付けてお魚焼きながら出汁巻を作っていくだけなので楽だ。しかし人数が多いのだけが難点である。

1人でちゃっちゃとやってると
「おはよう」と。振り返ると大地くんだ。
「おはよー!朝ごはん、もう出来るからもう少し待っててね!」
「お、手伝うよ。」
「わっありがとう!もう皆来る?」
「あぁ。」
「じゃあご飯とお味噌汁装ってもらっていい?」
「おー、わかった。」

「ごめんねお手伝い!」
「いや、気にすんな。手伝ってると作ってるところ見れるし楽しいよ。」
「え?!み、見ないで下さい・・・」
「さちって手際良いよな。飯も旨いし、良い奥さんになりそう。」
「う、えあっ、あ、ありがたき幸せ」
「誰だよ」
くすくす笑う大地くん。
うわああああマジ勘弁してくれ!!!どっか行ってーー!!

「「お早ーッス」」
「おっおおはよう!!ご飯出来てますよ残したら許しませんよ!だ、大地くんもういいよありがとう!!!」
「おう、俺も食お。美味そうだし。」
「どどどどドウゾドウゾ」

タイミングよくスガ、縁下が食堂に来てくれた。
出汁巻焼きながら平常心へいじょうしん!と唱える。心臓に悪いわ・・・!!

平常心出汁巻きは縁下の胃袋へ。すまん。




その後、続々と部員が入ってくるタイミングで潔子ちゃんが来てくれたので二人で朝食を作る。
その後、皆は練習。
洗濯してドリンク作って、今日の練習のお手伝い
。お昼ご飯はパスタである。

午後練習は練習&洗濯物取り込んで晩御飯用意して・・・って主婦か。うん、でもガチでこれぐらいしかやってないのよね・・・。
「潔子ちゃんも今日はコレ着てあげよう!」
「・・・」
「いいじゃん、大和撫子″」
「・・・うん。さちも、着るなら一緒に着ようかな。」
「うん!」

テレてる潔子ちゃんくっそ可愛いな・・・!!


そう、あの四字熟語Tシャツである。

数日前のこと。その日、練習を終え帰ろうと思ったら部室が明るかった。
日常的に、部活終わりの帰りは特に誰かと約束をしたり用事が無い場合、大概皆で帰っているが、マネは遅くなってしまうので誰かが外で待っててくれているのが常だ。ところが誰も居ないのに部室が明るいので、誰が残ってるのか部室を除くと、そこには田中とノヤっさん。机を囲んで一生懸命何かを読み、書いている。
「帰らないの?」
「さちさんお疲れっす!あっそーだ聞きたい事あったんですけどいいですか?!」
「え、ま、まさか勉強してんの?!」
「違いますよ!いい四字熟語が無いんです!!」

四字熟語?で、ピンときたのが例のTシャツである。
知らないフリしてどういうことか聞いてみるとやはり部員皆にTシャツを作っている事、他の人は全員決まったけど、どうにも潔子ちゃんに合う言葉がない!とのこと。

これはあれだ。
『清水潔子』にするやつだ。


「大和撫子が1番いいよ。」
「いやでも潔子さんはそんなもんじゃ無ぇんスよ!もっとこう女神というか!!なぁ龍!」
「おう!わかる、わかるぞノヤっさん・・・」


イエーイって・・・ハイタッチしてる場合か!
こりゃイカン。



「潔子ちゃんに着て欲しいんでしょ?なら絶対そうすべき。間違ってもフルネームとかは絶対駄目だよ。」
「なんでわかったんスか!!」
「わかるわー。フルネームなんかにしたら、絶対着ないよ。間違い無い。」あんたらの目的は着て貰う事では無いのか、折角作ったのに着て貰え無かったらどうするの?それでもいいの?!こういうのは同じ女子の意見を聞いておきなさい!と、結構必死でフルネーム阻止した結果、大和撫子になったのだ。




え、私?
私のやつは・・・『お母さん』だ。
いや、もうこのTシャツ作ってくれた時点で嬉しいのに、お母さん!凄い褒め言葉だ。
どうも去年の合宿のとき作ったご飯が美味しかったこと、洗濯掃除に治療もしてくれるから、らしい。
うわぁお母さんみたいに思われるなんて、中身いい年した私からすれば嬉しいことこの上無い!
センスはともかく、仲間って感じがして、受け入れてくれた感じがして、貰った時は嬉し過ぎて半泣きだった。


という訳でお母さんTシャツを着てご飯を作り、お残しは許しまへんでぇ!と言っておく。いつか言ってみたかった食堂のおばちゃんのセリフである。割烹着プリーズ。

「そーだお前らちゃんと食べなさいよー!」
と、大地くんが言うもんだからスガちゃんがボソッと「大地のTシャツ『お父さん』で、良くね?」
とか言うからテーブルの下で足蹴っといた。











翌日〜!
朝ご飯は洋食さ!パンにスープ。ウインナー にオムレツにサラダ。ヨーグルトにフルーツ。

今日は特別なものが届く日。
そう、ユニフォームである。

順番に配っていく。
勿論、翔陽は10番だ!小さな巨人が着てたやつ!!パアアアアっとキラキラした瞳になっている。可愛いのぅ。運命だってはしゃいでる。かわいいかわいい。
「絶対運命だよー!!」
「姉ちゃんもそう思う?!」
「うん、思う思う!凄いね、良かったねぇ、カッコいいねぇ!」
「うん!」
「翔ちゃん、似合うだろうなぁ〜!」
「ほっほんと?!そう思う?!」
「思う思う!!良かったねぇ〜」
「うへへへへへ〜」

「・・・たまたまだろ」
「妬むなよ影山くん」
「なんで俺が妬むんだよ!!」
「心配しなくても、影山もきっと似合うよ!」
「だから妬んでねーっス!」

そんな事言いながらユニフォーム貰ったとき口元がニヨニヨしていた事を私は知っている!ふふふー。





は〜〜
それにしてもやっぱりウチの子が一番可愛いわぁ〜!あんなに喜んじゃってほんっと可愛い可愛い!癒されるわぁ〜・・・







「・・・なんでお前はそんなヘラヘラしてんだ?」
「えぇっコーチってばあの翔ちゃんの可愛い顔見えてないんですか?!は〜癒される・・・。運命とか言って・・・もう可愛過ぎて辛い・・・」
「・・・・・・」






(まぁ・・・勘付いてはいたが・・・)
(相当ブラコン・・・いや親バカか・・・)



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