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さてやってきましたぁ!烏野総合運動公園・球技場!音駒との練習試合!!
楽しみだなぁ。これから長くお付き合いして頂けるように失礼の無いようにしなきゃ!今日のお昼はここの食堂で頂くのでご飯の準備無し!つまりたっぷり試合を堪能できる!
そして今日は!!もうひとつ楽しみがあるけどこれはまた後ほど・・・ふふふふ。

なんて上機嫌で荷物を運んでると、「ぅぉぉおお」という声と共に建物の角から赤い何かが飛び出して来た。

ドンッ
「へぶっ!」
「おわっ!」
中々の勢いで転んでしまった・・・!!うわぁあ恥ずかしい!がしかしなんか硬かった!鼻打った!い、痛い・・・!思わず鼻から下を手で覆う。
「すんませ・・・!!!」
「うあ〜・・・すみません、大丈夫ですか?」
本心としては(こんなとこで走るか?!私絶対悪く無い!誰だおまえ!!腹立つ!)
という気持ちですけどね!!私は大人、私は大人・・・!
「いや俺っ!すっ!ぅぁぁ!だっ!」
おい日本語喋れ!と思って顔を上げると・・・


あ、なんか色々納得。



「猛虎さん何やってんスか!すいません大丈夫ですか?!」
「だっおま!う、わあああ」
「・・・大丈夫ですよー。そちらの方こそ大丈夫ですか?顔、真っ赤ですけど・・・」
「はぅあっ・・・!だす!せん!」

うおおおおと言いながらまた走って行った。
何という期待の裏切らなさ!ぽかんと見てたけど、笑えてきた。
「ふ、ふふふふ」
「本当すみません!!荷物これ大丈夫ですか?!」
「あっ、ありがとうございます!音駒の方だったんですねぇ。あの人ほんとに大丈夫ですか?」
「全然気にしなくていいっすよ猛虎さんは丈夫だけが取り柄ですから!」

この言われ様である。

「ふふふ、なら良かった!荷物ありがとうございます!」
「イエイエ。あっ、ま、マネージャーさんですか?」
「はい、烏野3年の日向さちです。よろしくお願いします。」
「音駒高校1年犬岡です!」
「同じく1年芝山です!」
「犬岡くんと芝山くんだね。じゃあ翔陽と同じ年なんだ。」
「しょーよー?」
「10番が弟なんだ。」
「「へぇえ〜」」
「さち!こんなとこにいた!」
「あ、潔子ちゃん!ではではまた!荷物、本当にありがとう!」
「「ハイっ失礼しあーす!」」

そのまま潔子ちゃんと一緒に体育館へ向かう。
だす!せん!って何だったんだろ・・・大丈夫です、すみません、って意味かな?ほんっと面白い!それに可愛かったなぁ芝犬コンビ!!ほくほくしながら上機嫌で歩いていく。




体育館で試合準備とご挨拶〜!

「あっ紹介しておきます!マネージャーの日向さんと清水さんです!」
「「よろしくお願いします。」」
「ひなた・・・おお、君か、あの電話の!」
「はわわわ忘れて下さいぃ!!その節は大変失礼を申し訳ございません!!」
「いやいや、熱心なマネージャーで感心したもんだ。あん時はスマンかったなぁ。」
「イエ本当すみません・・・。あっあの、これ音駒さん用ドリンクです。ジャグですみません、コップはこちらですので、飲まれる方はどうぞ。」
「おーおー有り難い。マネも先生も優秀じゃのー繋心よ」
「ぐ」
「ま、相手が烏養のジジイじゃなくとも・・・
容赦しねえよ?」
「・・・」



「あの、コーチ」
「・・・なんだ。」
「ずっと気になってたんですけど・・・」












「ぶふっ!なんでラベンダーの香りするんですか!」
「ウルセェ!!」

金髪成人男子からラベンダーとか・・・!!!



「あははは!あんま動かないでくださいね香りが舞っ・・・ぶふっ!ところでこの試合、録画していいですか?烏野を。」
「ウルセェって・・・あ?!んな事できんのか?!」
「このデジカメ動画撮影可能なんです!この練習試合が、今後の烏野の主体となりますよね。」
「チッ!てめー本当にあのちんちくりんの姉かよ優秀じゃねーかちくしょう!」
「わー全然褒められてる気がしない!ちょ、動かないで下さいってばラベンダーの香りあははは!」
「笑ってんじゃねーよ!」

しかもまたちんちくりんって言った!どうしてくれようか!




ネコチームにもOKを貰って観覧席にカメラ設置。たっつぁんさんと嶋田さん発見!ちょっと距離が離れてたのでご挨拶というかペコリしておく。そしてベンチに戻る。

ユニフォーム姿の皆が集合している。


翔ちゃんのユニフォーム姿・・・!格好良い・・・!大きくなったなぁ、あんなに小さかった弟が・・・!!
ちなみに冒頭の楽しみとは言わずもがなこの動画である。・・・父と母と夏ちゃんまでもがユニ姿翔ちゃんを楽しみにしているのだ。

とゆー訳で、試合開始なんですが。
翔ちゃんがっつり見たい!がネコチームの夜久くん孤爪くんが可愛い・・・。黒尾さんは存在がエロいな!何故か!


そんな事より駄目だ私!!
さ、澤村が格好良い・・・!!あの1番何なんですか・・・!

やばい。これは駄目だ。目が勝手に澤村を追うのだ。

教室でクラスメイトとバカな事をしているとき、授業を受けてるとき、練習や、後輩をしかってるとき。色んな澤村を見てきたけど、やっぱりこのユニフォーム姿は格別だ。
頼り甲斐のある大きい背中。沢山のものを背負う背中。


将来、どんな人になるのかな。
いつかあの暖かい手で、大きな背中で、誰かを守っていくのだ。いいな。彼に選ばれるのはどんな人なんだろう。あの、彼女のように素敵な人なんだろう。いいなぁ・・・






なんて、ちょっとおセンチな気持ちで試合に見入ってると、知らない人が武田先生を呼びにきた。そのまま体育館の入り口へ移動するお二人。
何か喋ってるなーと思ったら「えええっ?!!!」という武田先生の叫び声が。

え、何事か?

「ひっ日向さん大変です!!!ちょっと!!」
「へ?何ですか?!」
武田先生がダッシュで呼びに来るから、なんだなんだ??とチラチラ見られながら立ち上がり入り口へ向かう。
「こちら体育館の責任者の方なんですけど」
ぺこりとご挨拶。

「実は昼食なんですが、今日・・・食堂の方が全員休みなのを伝え忘れていたと・・・」

「は?!?!」
「いやースミマセンね、すっかり忘れてまして!ほっほっほっ」
いやじーさん!忘れてたじゃねぇよ!
はっ!私は大人、私は大人・・・!
「食堂にあるものは使ってよいとの事なんですが・・・どうしましょう、買いに行きますか?」

いやいや音駒の分も?そんな予算無いよね。先生の貯金出させる訳にはいかない。
「とにかく一旦食堂に行かせて下さい」

案内された食堂。
日持ちするやつはいっぱいあるはず!肉とかは冷凍してるでしょ多分。
よし、米はある!調味料も揃ってる。卵も。肉・・・肉・・・鶏肉!よし、出来る!


「先生、作りましょう。」
「ほっ本当に?!」
「ハイ。」


という訳でダッシュで体育館へ戻り、音駒ベンチへ。
「猫又監督、試合中すみません緊急ですのでお許し下さい。」
「ん?何だそんな慌てて」
「音駒のメンバーさんの中で、食物アレルギーの方はいらっしゃいませんか?!」
食堂で自分達が作る事になった事を説明。
「ちょっと待ってな。黒尾!」
「ハイ?」
「こん中でなんかアレルギー持ってるやついるか?」
「え、いないかと。」
「だとよ。」
「ありがとうございます!黒尾さんも!!」

と、音駒全員から何だあの人?視線をビシバシ感ながら潔子ちゃんを拉致って入り口まで向かい説明する。潔子ちゃんも真っ青である。
そのまま潔子ちゃんは食堂へ。私は観覧席にいる嶋田さんの元へ。

「嶋田さぁぁん!」
「おぅ久しぶりってどうした?!?!」
「ハァハァ・・・きょ、今日も可愛いエプロンですね、欲しいです!ハァハァ・・・ついでに、ね、ネギと、豆腐を配達して下さいそしてマケて下さいぃ!!!」
「うははは超おもしれー!」
「何事?!」

かくかくしかじかで、と経緯を説明する。
オゥ任せろ!エプロンはあげない!と速攻店に向かってくれた嶋田さん。くれないのか!


「い、イケメン・・・!」
「えー俺は?」
「だが電器屋に用は無い!」
「ひでぇ!」
ごめんねたっつぁんさん!









ここで諦めたら『お母さん』の名が廃る!
作ってやろうじゃねーか!!




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