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田代先輩、ほんと見るからに良い人そうだなぁ。目のキラキラ加減が凄いわー。
あの人の次の主将がめっちゃ怖い顔の人だ。名前はく、黒・・・忘れた。で、その次が澤村さんだ。
澤村さん・・・同じクラスかぁ。。。
格好良かったなぁ。。一番好きなキャラだったんだよなぁ。
いや、キャラじゃない。翔陽でわかってたつもりだったけど、わかって無かったのかもしれない。
目があった。笑ってた。
漫画やアニメで見ていたどの表情とも違う気がした。それはそうだ。だって生きてる。

リアルで見てしまうと自分の行動がいかに自分勝手なものだったのかが分かる。今さら、だ。今さら関わらないなんて出来ない。そうだ、後悔しても遅い。考えちゃ駄目だ。大丈夫、大丈夫。私は異分子だ。おかしな事をしないようにする。

いい加減このマイナス思考を何とかしないと、とつい溜息をつく。


「ーーーあれ、日向さん?」
「っ、あ・・・」

考え事をしていたら、どうやら立ち止まっていたらしい。
前方から現れたのは澤村君と、えっと、女子バレー部の・・道宮さん?だったかな。

「澤村くん・・・。だ、よね?」
知ってますけどね!不自然じゃなかったよね。

大地さんクラスメイトの名前覚えるの早・・・
なんて思っていると、ゆるりと口角をあげる。
わ、また笑った。

「うん、そうだよ。こんな所でどうしたの?」
「男子バレーの練習の見学に来たんだけど、今日は休みって言われて・・・」
「えっ・・そっか。俺も見学に来たんだけどやってないのか・・」
「明日の放課後はやってるって言ってたよ。」
「おお、なら俺も明日にする。道宮はどうする?女子も休みかな?」
「あ、女子はやってると思うよ。間違えて案内されそうになったから。」

笑顔で彼女に視線を送ると首を傾けてガン見されていた。な、なぜ?

「道宮?」
「あっ!じゃあ私は見学してくる!ありがと、えーっと・・」
「澤村くんと同じクラスの、日向さちです。」
「私は道宮結です!宜しくね!じゃね!バイバイ!」

そう言うと道宮さんはそのまま走り去ってしまった。



「あー・・・じゃ、俺らも帰ろうか。」
「う、うん。」


そのまま並んで歩き出す。え、一緒に帰るの?!
いや隣に並ぶとかこれ何のフラグよ。

私は電車通学で、澤村くんは徒歩通学らしい。
「じゃ、駅まで送るよ」
と爽やか笑顔で言われて断れる人、いたら挙手!
私?無理!!

「あー、日向さんってさ、」
「?」
「あの烏野が春高行った時の試合見てここ受けたの?」
「へ?何で知ってるの?」
「今日俺の後ろの席の女子と話してるの聴こえてて。」
「あぁ!」
言ったわ!マネージャー仲間!の所しか覚えてない私のトリ頭・・・

「俺も、同じ動機でここに入学したから、すげー嬉しくて。っても初対面の女子同士の会話に割り込むのもアレだろ?」

「だからクラスで日向さんの名前だけ真っ先に覚えた。」

「っ・・」

「今日、話せて良かった」

「俺、バレー部入るからこれから宜しくな!」



あぁ、なんて笑顔で・・・何て強い目だろう



今の烏野が昔と違うという事は、彼も知ってるはずだ。それでも大きな希望と、必ず復活させ盛り上げてやる、全国大会で優勝するという夢を絶対に成し遂げるという信念を持っているんだ。
迷いなど無い目だ。
そしてこれから先、何度も何度も辛く悔しい思いをするんだ。だけどずっと耐え、大きく羽ばたくのだ。
眩しい人だ。

だから、私は

「・・・私、私はね、」
「うん」
「皆んなと一緒にコートの中で飛び立つ事はできない」
「・・・」
「だけど、巣作り・・巣の強化なら出来る。」
「!・・・」
「出来る事はなんでもやる。だから、コキ使ってね!頑張ろうね!」
真っ直ぐに目を見返し、口角を上げニヤりと笑みを浮かべ拳をグーにして彼に向ける


彼は驚いたような顔からぐっと目を瞑り
再び開いた時には先ほどより強い眼差しをこちらに向け、同じように口角をあげ
「ああ!」と力強く答え、拳同士をこつりと当ててくれた。







「ところで呼び捨てでいいよ!サン付け苦手で。」
「ん、じやあ日向!なら俺の事も呼び捨てで」
「それは無理」
「ふはっ 何でだよ!」


こちらの心臓の都合ですが何か?


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