部屋の引き出しの整理をしていたら1枚の紙切れがひらりと落ちた。なんだろうかと拾い上げて見ると桜の木の下で笑う私と嫌々写っている雲雀さんの写真。
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「雲雀さん!」
「何?」
「一緒に写真、撮りませんか?」
「やだよ」
「えー、…あ、ぢゃあ私とジャンケンしましょうよ!私が勝ったら撮る!はい、決まり!」
「え、それ決定なの?」
「はい、決定です」
勝てますように。そう願って出した手はまさかとは思ったけど雲雀さんに勝っていた。
「や、やったー!!」
「チッ」
「今、舌打ちしましたねー!
でも私が勝ったんで写真撮ってくださいね!」
「…」
そうして無理矢理に等しい感じで撮った写真。あれからは1枚も一緒に撮ったことはない。大事な宝物。
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お昼が過ぎ、時計を見ると3時に。ペンを置いて伸びをするとことりとペンが置かれる音が聞こえた。
「疲れた。休憩にするからお茶淹れてきて。2つね」
この言葉の意味は言われなくたってわかる。私も一緒に休憩時間にはいるということ。お盆にお茶と茶菓子に桜餅をのせて雲雀さんのもとへ。やっぱりソファーの向かい側に座ってる。
「どうぞ」
「今日は桜餅か」
「嫌いでしたか?」
「嫌いじゃないよ」
てことは好きなんですね。と言うとそっぽを向くから変わってないなと口角があがる。淹れたてのあったかいお茶を飲みながら今日も平和だなー、なんて。どちらとも喋らない空間。気まずさなんてなくてむしろ心地よくて、
「桜、見に行きたいな」
なんて口がいつの間にか言葉を発していた。
雲雀さんは何言ってんだみたいな目で見てくる。
「桜、綺麗ですよね」
「そう」
「見に行きたいですね」
「じゃあ行ってきたら?」
「雲雀さんもどうですか?」
「嫌だね」
「じゃあ、ジャ…やっぱなんでもないです」
じゃあ、ジャンケンで私が勝ったら行きましょう。決定です!
と言おうとした自分にハッとした。
私達は上司と部下で2人で出掛けるような関係じゃない。
あの日はボンゴレ花見大会とかで……、あれ、いつから無くなったんだろう。
戻れるなら、あの頃に20111119
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