朝目が覚めると目の前の壁にスーツ。誰のだっけ?ああ、私のだ。スーツなんて今までなかったからなんだか見慣れない。朝ご飯を食べに下へと降りれば味噌汁の匂いが食欲を誘う。
「ツナ兄、おはよう」
「おはよう」
こうして兄と朝起きて「おはよう」というのは兄がボンゴレボスになってからだからつい最近のこと。それまでは「おはよう」より先に「わあぁぁ!!母さんなんで起こしてくんないんだよ」から始まって、それと同時に私は「いってきます」だったからなんだか変な感じ。
「「お母さんいってきます」」
「いってらっしゃい、ツっくん、みあちゃん、頑張ってね〜!」
母に見送られ家を出た私達はアジトへと向かう。
「ねえみあ」
「なに?」
「雲雀さんに仕事部屋は教えてもらった?」
「まだだよ」
「そっか、じゃあ教えてあげるから俺に着いておいで」
「わかった」
なんだ、雲雀さんの部屋で仕事するんじゃないんだ。昔、と言っても2、3年前のことだけど昔みたいに雲雀さんが大きな机で仕事して私がソファーのほうで仕事をするのかと思ったからがっかり。
ぢゃあ部下の仕事部屋に行けば他の部下の人にも会うのか。て、言ってもきっと顔見知りばかりだと思うけど。
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並盛神社からアジトへと入ると朝だからなのか人の行き来が激しい。
「ボス、おはようございます」
「おはよう」
「あ、みあさん!」
「おはようございます」
「おはようございます!」
そんなに気をつかわなくたっていいのに…。ただ兄が、たまたまボスなだけなんだから。
そんなことを数回繰り返しながらアジトの中を歩くと、見覚えのある人影が見えた。
「あ、雲雀さーん!
おっはよー!!」
「…」
「雲雀さん、おはようございます」
「うん」
「なんでみあにだけなんだよ雲雀さん。俺、ボスなんですけど」
「は?君の下についた覚えはないよ」
「なっ!!」
「なんでここにいるの?」
「そうそう!
みあに雲雀さんの部下の人達が仕事をしてる部屋を教えてあげようと思ってね!」
「そんなことしなくていいよ」
「雲雀さんがしてくれるってことですか?」
「違うよ、」
ふら、とよろけたのは雲雀さんに腕を引かれたから。
「沢田に部下の部屋を案内する必要なんてないよ、この子は僕の部屋で仕事してもらうから」
私も兄も顔を見合わせた。
え、なんで?って。
そんな私達を見て雲雀さんはクツクツと笑っている。
「君達、面白い反応だね」
「や、だって雲雀さんが!」
「あの、なんでですか?」
「だって、君が居ればお茶だっていつでも飲めるだろ?」
「そうですね、頼まれればいつでもお淹れしますよ」
「てことで沢田、この子は僕の部屋で仕事してもらうから」
「ちょ、雲雀さん、みあ!!」
「んぢゃツナ兄、そういうことだから」
「今の君には沢田への権限なんてないよ沢田は僕の部下になったんだ」
いくよ、と雲雀さんに言われスタスタ歩く背中を追い掛ける。兄はまだ私達の名前を叫んでいるけど雲雀さんはそんなのは無視だ。ごめんねツナ兄、心の中で謝った。
側に居れる、それだけで幸せです20111115
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