「雲雀さんできました、確認お願いします。」
書類を渡すと隅から隅と漏れや間違いがないかチェックする雲雀さん。最初にこうしたときは間違ってたら咬み殺されるんだろうか?風紀委員やめろとか言われるのかとすごく心配でこの時間がとても嫌いだった。だけど間違っていても何もなかった日からは私はこの時間が好きになった。だって、じっ、と見ていても雲雀さんには気づかれないから。今も私は雲雀さんをみている。学生時代とは変わっている雰囲気にドキッとした。色気とかはんぱない。
もし今、瞳があってしまったらどうしよう。きっと気絶してしまう。
「うん、完璧だ」
パサリと書類を置くと、お茶飲みたい。と一言。
「ありがとうございます。
わかりました。」
お礼を一言いって給湯室へと向かった。
★★★★★
えーと、雲雀さんは確かいつも決まった日本茶した飲まないはずで…、あった!お茶の好みもまだ変わっていないらしい。また私の知ってる雲雀さん。好みの熱さは熱め。のはず。変わっていなければ。お茶と雲雀さんが好きな饅頭と自分のも準備して部屋へと戻った。
★★★★★
戻るとさっきまで私が座っていたソファーの向かい側に雲雀さんが座っていた。てことは、その向かい側に私が座るということだよね?
「淹れてきました」
「ん、」
「あと、饅頭も」
「気がきくね」
「いえ」
「じゃあ、頂くよ」
一口、お茶を含むのを見届けてから私は向かいのソファーに座った。ちらりと表情を伺うと難しい顔をしていた。
「不味かったですか?」
「どうして?」
「難しい顔をしていたので」
「よく僕の好みを覚えていたね」
「たった2年でしたけど、お茶を毎日のように淹れていましたから。身体に染み付いちゃったんですよ」
「そう。
ところでどうしてここに来たんだい?
沢田なら沢田の下にでも着けば苦労することなんてないだろ?」
「そうですけど、それだと1日中兄と一緒にいることになってストレスが溜まってしまいそうですから。
それに他の守護者の皆さんとは話をするくらいであまり関わりがないですけど、雲雀さんとは学生のときに一緒に仕事をしていたので。」
「ふーん」
長く話したけど返ってきたのは一言だけ。雲雀さんらしいと言えばそうだけど、もう少し何か言って欲しいと思ってしまう。
『雲雀さんが好きだからです。』
そう言えたら楽なのに。
これがいい20111110
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