ドアの前に立って身なりを整える。なんたって今日は久しぶりに雲雀さんに会うのだから。
髪は邪魔にならないようにポニーテールに。普通に結ぶだけじゃなんだか味気ないし、大学に入ってたりしてお洒落したりする歳なのだからスーツを着ていても細かいところは気にしたい。まして、雲雀さんのもとで働くのだから尚更ね。深呼吸を1つしてノックする。

「新しく配属された沢田みあです。」

ドキドキしながら言葉が返ってくるのを待つ、とは言っても「どうぞ」と返ってきたのはずっと雲雀さんの隣にいた草壁さんの声だった。内心がっかりしてしまった。

「失礼します」

「みあさん!久しぶりですね」

「久しぶりです、草壁さん。
これからまたお世話になります」

「そんなに畏まらなくていいですよ、みあさんは沢田さんの妹さんなんですから」

「それはダメです!
妹とか関係ありませんよ、私はもう雲雀さんの部下なんですから」

草壁さんは「ですが…」と言っているけど私は普通に接してほしい。今までは兄がボスだからしょうがないと思っていたけど今はファミリーの一員なのだから。

「あの、仕事は?というか雲雀さんはいらっしゃらないのですか?」

「恭さんならすぐに戻ってくると思いますよ」

「そうですか
あの、私以外に雲雀さんの部署に配属された人はいないんですか?」

「いませんよ
恭さんは自分が信頼している人しか側には置きませんからね」

みあさんは信頼されているんですよ

2年しか雲雀さんとは関わっていないのに草壁さんだけどこう言われると胸が温かくなった。











「……沢田みあ?」

声の主は一発でわかった。
振り向いた先には学生時代とは髪の長さや背が変わった雲雀さんがドアの前に立っていた。

「久しぶりです、雲雀さん」

「…早速だけどさ、この書類片付けて」

「はいっ」

私の言葉はスルーだけど前と変わっていないなと少し嬉しかった。
私の知ってる雲雀さんだ。

指示された山積みの書類の目の前に座り腕まくり。
雲雀さんは雲雀さんでデスクで書類の片付け。
横から聞こえる書類にペンが滑る音に、また雲雀さんの側で仕事ができてるんだな、と嬉しくて頬がゆるんだ。

やっと会えた



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