キミとのセカイ19




最初の頃はなんて長いんだろうと思っていたけれど、今思えば4ヶ月なんてあっという間だった。
特に12月に入ってからは時間が経つのがホント早くて、気がついたらローエンが迎えに来てくれる予定の土曜日の朝を迎えていた。
もう慣れたもので、僕は8時頃に目を覚ますと、まだ少しぼーっとした頭で布団を畳み暖房のスイッチを入れて洗面所で顔を洗うと服を着替えて朝食の準備を始める。
今日のメニューはベーコンエッグとバターのたっぷりのったトースト、それと簡単な野菜サラダ。
それにアルヴィンにはコーヒー、僕はカフェオレをいれて机に並べればいつもの朝食の完成だ。
ちょうどその頃、アルヴィンの携帯にセットされている目覚ましがピピピピピと鳴り始める。
するともぞもぞと布団の塊が動いたかと思ったら、にゅっと右手だけ布団の中から差し出されて煩く鳴る携帯のアラームを少し乱暴に止めた。
その後また手が布団の中に戻って行くのが何だか面白くて暫くその様子を見つめながらも、これもまた僕の仕事と化しているアルヴィンを起こす作業を開始する。

「アルヴィン、アールヴィン?朝だよー、目覚ましも鳴ってるよー」

そう言いながら布団を剥がそうとすると、アルヴィンは寝ているくせにやけにすごい力が入った指でそれを阻止しようとしてくる。
僕は一旦布団から手を離すと、今度はゆさゆさと揺すって再び声をかけた。

「アルヴィン、起きて。せっかく作った料理が冷めちゃうよ…!」

「んー…さ、むい…」

「さっき暖房いれたからもう時期に暖かくなるから」

と、そんなやりとりをしているうちに布団から顔だけ出して薄っすらと開けた目でこちらを見てくるアルヴィンと目が合った。

「………―――あれ?ジュード、くんだ」

「そうだよ?僕以外に誰かいるの、アルヴィンったら寝とぼけてるでしょう」

クスクスと笑いながら答えると、あーとか何とか言いながらアルヴィンはベッドから起き上がる。

「おはよう、アルヴィン」

僕が挨拶をするとアルヴィンからも少し間が空いたけどちゃんとおはようと返ってきた。
でもまだ完全に起きていないんだろう、アルヴィンはぼーっとベッドサイドに座りながら天井の辺りを見つめている。
暫くそうしていたかと思ったら、すくっと立ち上がって顔洗ってくるわと言い部屋から出て行った。
僕が机の前に座って暖かいカフェオレを飲みながら待っていると、時期にアルヴィンが戻ってくる。
服装こそまだスウェットのままだったけど、ちゃんと髪もぼさぼさじゃなくなっていたし冷たい水で洗ったからだろう、さっきとは違って目もちゃんと冴えたみたいだ。

「お待たせ。んじゃいただきますってことで」

僕の向かえ側に腰を下ろすとそう言ってトーストにかぶりついた。
僕もいただきますと言うと箸を手にとってサラダから食べ始める。

「ローエンがおたく迎えに来るのって今日だよな?何時くらいだったっけ?」

口をもごもごと動かしながらしゃべるアルヴィンに「もう、食べ終わってからしゃべってよ」と言いながらも僕は約束の時間を思い浮かべた。

「えーっと、確か11時くらいだったと思うよ。お昼ごろに来るってメールが入ってたから」

今は9時5分前だから後約2時間くらいでアルヴィンとの暮らしは終わることになる。
そう思うとなんだか胸がちくりと痛いような気がした。
でもそれがどうしてなのかが僕にはわからない。
僕は食べていたサラダの入った器を机に置くと、アルヴィンのほうとちらりと見てみる。
ベーコンを食べていたアルヴィンがその視線に気がついたのか、ん?とこちらに顔を向けた。

「あ、ううん特になんでもないんだけど。
 …4ヶ月って長いようで短かったなって思って。」

「あぁ、確かに…ジュード君のおかげでいい生活をさせてもらったよ」

そう言って笑うアルヴィンに僕はなんて言っていいのかわからなくて、そんなことないよって無難な言葉しか口に出せなかった。
なんだかさっきから胸がちくちくするのが収まらない。
アルヴィンを見てるとそれが酷くなるような気がして、僕は食べることに集中することにした。
そうしてトーストの最後の一欠けらを口に放り込むと、早く席を立とうと急いで咀嚼して飲み込む。
アルヴィンはとうに食べ終わっていてコーヒーを飲んでいた。

「じゃあ僕洗い物してくるね」

そう言うと2人分の食べ終わったお皿を持って立ち上がる。
アルヴィンのおぅ、宜しくという声を背中で聞きながら部屋のドアをバタンと閉めた。

[ 32/37 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -