キミとのセカイ13




9月1日の朝。

「アルヴィン起きて、もう朝だよ…!アルヴィン!」

ゆさゆさと大きな身体を揺するけど一向に起きる気配がない。
あれ?これ前にも同じようなことがあった気がする…いつだったっけ?
ちょっと気になるけど、今はそれどころじゃなかった。
だって早くしないと学校に遅刻してしまう。
もう、先日ローエンの家まで取りに行ったランドセルに荷物は入れてあるし制服にも着替えた。
後は行くばかりなのだから、アルヴィンなんてほかって行けばいいのだが残念ながらそれは出来ない。
だって僕はアルヴィンの家から学校までの道程がまったくわからないからだ。
やっぱり昨日聞いておけばよかった、と思っても後の祭りである。
そう、僕は確かに昨日の夜アルヴィンに学校までの道程を尋ねたのだ。
だけどアルヴィンが当日送ってってやるよと言ってくれたからその言葉を信じてしまった。
僕はバカだ、この人は朝が死ぬほど弱いということをここ数週間一緒に生活していて十分すぎるほどわかっていたはずなのに。

「アルヴィン、アルヴィンったらっ、起きて…よっ!」

「―――ん、ジュー…ド、くん?」

格闘すること15分、漸くアルヴィンは目を覚ましてくれた。
僕の方を見て目をぱちぱちさせている。
いけない、このままだと絶対この人また寝ちゃうよ。

「そうだよ、ねぇアルヴィン早く起きてくれないと僕学校に行けないんだ…!
 確かローエンがここから学校までは歩いて20分くらいって言ってたよね、だとしたら後最低15分で家を出ないと間に合わないよ!
 だから早く準備をして、お願い!」

まだ眠そうなアルヴィンに必死にしゃべりかけると、彼は暫くぼーっとした後一瞬ハッとした顔をしてがばっと寝ていた身体を起こした。

「…もしかして俺寝すぎた?」

「寝すぎだよ、アルヴィンったら目覚ましかけてる意味がまったくないじゃない。
 それより早く出かける準備してきて、ほら後13分くらいしか時間ないよ、大丈夫?」

「大丈夫…じゃねぇ、それを早く言えってっ」

「…はぁ、だからさっきから何回も言ってるじゃない」

急いでベッドから降りると洗面所に消えていったアルヴィンの後姿を見ながらため息混じりに僕はそう呟いた。




10分後、奇跡的にも準備を完了したアルヴィンと一緒に部屋を出た。
いつも彼なりの拘りがあるんだろう時間をかけてセットしてる髪はかろうじて寝癖を直した程度のセットしかされていないし、服も適当に選んだんだろういつもとは少し雰囲気が違う気がする。
まぁ服は僕がちゃんと洗濯をしてアイロンもかけてるから何を着ても問題ないんだけどね。
そんなことを考えてると横を歩いていたアルヴィンがふと僕の方を見下ろしてきた。

「なぁ、おたくって方向音痴とかじゃないよな?
 帰りは俺バイトあるから迎えに行ってやれないけど一人で家まで帰って来れる?」

そうちょっと心配そうに尋ねてくるアルヴィンに僕は大丈夫だよ、と答える。
そんな迷路みたいに入り組んだ道ならともかく、アルヴィンの家から学校までは殆ど大通りを歩いていれば着くみたいだし。
すると、そりゃよかったと上のほうで声がした。

暫く歩いていると見たことのある風景になってくる。
それと同時にランドセルを背負った子供も増えてきた。
そんな中見慣れた塀の続く道を歩いていると、大きな西洋風の門が姿を現した。

「送ってくれてありがとう、アルヴィン」

門の前までくると一度立ち止まって僕は上のほうにあるアルヴィンの顔を見上げる。
アルヴィンも若干膝を曲げながら僕の頭を一撫でしてから「じゃーな……いってらっしゃい」と言ってくれた。
なんだかいつもと逆だねって笑いながら僕は「いってきます」と言って門を潜った。


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