半宵_4

いやそれはさすがにまずいだろう、と思ったが、原始的な排泄欲求がそれを上回る。何より、まだ室内にいる状態で粗相してしまうのが一番よくない。そう判断した俺は、後で心から謝ろうと決意して風呂場に入った。しかしいざ出そうとしてみると、理性が歯止めをかけなかなか思い切りがつかない。

「木島?」
不審そうに後ろから声をかけられる。
「あの、出そうとはしてるんですけど、ちょっと」
「……やっぱトイレ行く?」
「移動のあいだ我慢できる自信ないです」
とっくに限界は迎えている。先輩が近くにいるせいかもしれないと思い、口を開いたときドアの閉まる音がした。振り向くと、上半身裸でズボンを膝までめくりあげた先輩が立っている。

「え、先輩」
「手伝う。腰落として」
そう言って、シャワーヘッドを手に取る。指示どおりにしゃがむと、後ろから覆いかぶさるような姿勢で、手を伸ばして水を流し始めた。タイルに水滴があたる音に、尿意を刺激される。水は次第に温水に変わり、湯気が立ち上ってくる。

「恥ずかしくないよ、大丈夫」
「……」
「一緒に流しちゃいな」
耳元で囁かれ、ぞくぞくする。力が抜けると同時にちょろちょろと薄黄色の液がタイルの溝を流れる。流水の勢いを得て、若干色が薄められたそれは排水溝へ吸い込まれていった。
「あー……」
十数秒か、もっと長い時間か。色々なものを放棄した気分で、そのままタイルに尻をつく。立ちあがり、俺の股間もろとも上からざざっとシャワーで洗い流した先輩はこちらを見た。

「体洗うのも、自分でできる?」
「……」
「洗ってやろうか」
もーどうにでもなれ。そんな気分で俺は首を縦に振った。


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