半宵_3

色味の少ない部屋の、見かけよりは快適なベッドへ飛び込む。
「おやすみなさーい」
「こら待ちなさい」
腕を強く引かれる。煙草臭いからせめて風呂くらいはいれ、あとコートは脱げ、その前に手洗いうがい、頭上から降ってくる言葉に耳を塞ぎたくなる。面倒くさい。
「脱ぐの手伝ってやるから」
「えー、わかりました」

半ば強制的に脱衣所へ連れて行かれ、子供のように、はいバンザーイ、と声をかけられ衣服を脱がされていく。成人男性がこんなことされてていいのか、と考えるよりも早く裸になった。暖房をつけたばかりの部屋の冷気に震えた瞬間、忘れていた感覚を呼び起こされる。

「先輩」
「どうした?」
「……あの、トイレ……」
居酒屋で目を回してしまってからすっかりそのままきてしまったが、今になって膀胱がむずむずするのを感じる。
「えっ、ちょっと待って、やばい?」
「出そう」
しかも結構、切羽詰まったやつ。

先輩は一瞬ためらうような顔をして、風呂場のドアをあけた。
「構わないから、ここでしちゃって」


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