半宵_2

「ごめん、俺と木島先に抜けさせてもらうね」
どうやら、俺を支えてくれたのは先輩だったらしい。座敷からはええー、と不満そうな声が上がる。
「ちょっと多めにお金置いていくから、あとは楽しんで」
「先輩最高っす!」
現金な奴らだ。

足取りはまだふわふわとしたままで、荷物もコートも先輩に持ってもらったまま、手をひかれて歩いた。つめたい風が皮膚を撫でてゆく。ほてった体に心地よい。
「木島どーすんの、帰り」
「あー……無理っすかねー……」
「まぁ、このままでは帰せないよ」
「そうだ先輩、ここから家近いですよね」
先月、泊らせてもらったマンションの一室を思い出す。あそこなかなか居心地良かったし、なんかもう今すっごいだるいし、転がりこみてー。

「……来たいの?」
「行きたいですーお願いしますよー」
駄々をこねるようにぐるぐる頭をまわす。あ、やばいまた視界が危ない。思わず足を止めると、先を歩いていた先輩が近付いてきて、のぞきこまれる。

「お前まじで言ってる?」
「まじですって」
ふん、と少し鼻を鳴らして「タクシー拾うから駅前まで頑張れよ」とまた歩きはじめる。そういえばさっきの飲み会代もなんだかんだいって払ってなかった。ちゃんとした状態に戻ったらまとめて精算してしてもらおう、などと考えながら空を見上げる。星は見えなかった。

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