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この鳴瀬奏とかいう転校生に「友達」と言われ何をするにもまとわりつかれて、はや数週間。だんだんこの厄介な生き物のことが分かってきた気がする。

まず、馬鹿でかい瓶底眼鏡は寝るときでも絶対はずさないらしい。これは鳴瀬のルームメイトの柏村に聞いたことだ。
緑成学園の寮は基本的に2人ペアの部屋で、メインルームと個人の部屋が一つずつ、合計三部屋ある。プラス、キッチンと洗面所、独立したバスとトイレ。そこはさすがお坊ちゃん校というべきか、設備は整っているし調度品はいいものだしで、中流家庭に育った俺からするとこちらの方が居心地がいいくらいだ。
ちなみに、生徒会役員にはこれよりはるかにグレードの高い部屋が与えられているらしいが、どんなものなのか、乏しい俺の頭では想像もつかない。聞くところによると、超高級ホテルのスイートルーム並だとかそれ以上だとか……親衛隊長といえど、というかだからこそ、プライベートには踏み込まないので、真相は闇の中である。

あと、これはどうでもいい情報だが、甘い物好き。特に和菓子が好き……って、本当にどうでもいいな。

それと、しょっちゅう俺と千秋にまとわりついてくる癖に、生徒会役員が絡むとあっさりそちらへ行く。
あの初日の食堂事件以来、鳴瀬は生徒会用の席を自分のものと認識したみたいで、何食わぬ顔をして使っている。何度規則を言って聞かせても「よくわかんねー」の一言で一蹴されるのだ。周囲から聞こえる批判の声は相変わらずだが、会長の親衛隊長でそこそこ顔も知られている俺と一緒だからか、直接何か言ってくる生徒はいない。
もちろん、俺も好きで鳴瀬と一緒にいるわけではない。一度試しに無視してみたらとんでもない大声で名前を連呼された挙句、掴みかかられそうになった。千秋がなんとかその場を収めたが、あんな思いはもうこりごりだ。


「恵斗」
「……なんだ、遼か」
「俺じゃ不満か?」
「まさか。ちょっとね、忙しくなりそうな気がするから気が立ってるだけだよ」
「へぇ……それはそうと、あの転校生に、やけに気に入られてるじゃないか」
「あぁ、鳴瀬くんのこと」
「お前は知らないかもしれないが……調べてみたら面白いことが分かった」
「面白いこと、ねぇ……」


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