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何故、こんなことになったのだろう。

俺の左側には千秋と鳴瀬、正面には我らが王子様、古崎会長。その右側には鬼の副会長として恐れられる伊勢谷副会長と、様々な悪事を働いていると噂の柿島会計。正直、ちょっと怖い。あと辻中書記。かなりの無口のようで、生徒会の手伝いをしに行った時も、話しているのを聞いたことは数えるほどしかない。

「へぇ、鳴瀬くんって言うんだ。」
「かいちょーさん下の名前はなんていうの?」
「恵斗だよ」
「わかった!恵斗な!よろしく!」
さっきからずっとこの調子だ。
転入生に学園のルールを教えていなかった俺にも責任はあるわけだし、親衛隊長としての面子もあるし、それなのに当の本人はいきなり下の名前を呼び捨てにしているしで、何かもういたたまれない。

「何アイツ?」
「僕らの恵斗さまに気安く話しかけて……!」
ひそひそと、そんな声も聞こえる。
「森垣さまもいらっしゃるのに、何故あんな無礼を見逃しているのか……」
仕方ないだろう、基本的に会長の指示がない限り、俺たちは勝手に動くことができない。それと引き換えに親衛隊を公認していただいたのだから、ここで変な行動を起こせばこちらが会長を裏切ったことになる。そんなことをしたら会長は失望するだろう。

会長に嫌われるなんて、嫌だ。

「……森垣くん?」
「は、はい!」
俯いていると、副会長から話しかけられた。眼鏡の奥からのぞく眼光に、自然と背筋が伸びる。
「頑張ってね」
何故か、気の毒そうな顔で励まされた。
「え、あ、はい……」
この人は何か知っているのだろうか?その「何か」が何かなんて、俺には分からないけれど。

休み時間の終わりを告げる鐘が鳴る。

「会長……本当にすみませんでした」
「いいよ、僕たちも久しぶりに一般生徒と話せて新鮮だったし」
ああ、本当にこの人はどこまで心が広いのだろうか。

「恵斗!また一緒に飯くおうなー!」
お前はもう黙ってろ。

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