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きゃあきゃあと騒ぎ続ける生徒の中に、いつの間にか千秋も混ざっている。
椅子にどっかりと座り、さぁ食べようとしている鳴瀬と、トレイを持ったまま真っ青になっている俺の前で、四人は足をとめた。

「ふ、古崎会長……申し訳ありませ……」
「森垣くん、あそこにいるの誰かな?見かけない顔だけど、転校生?」
笑顔を崩さず、しかし威圧的でなく問いかける会長。
……あの馬鹿!

「そうです。今日入学したばかりらしく、まだ規則を知らなかったようで」
「規則なんてそんな……」
困ったように言う会長の背後から、副会長が顔を出す。

「転校生に規則を教えてあげるのは君の役目じゃないの?親衛隊長さん。」
「……返す言葉もございません」
丼の中でスープが波打つ。親衛隊の存在意義の根本は、対象とする人物のサポートだ。俺の場合は、会長が快適に問題なく過ごせるよう立ち回らなければならない。よって今この状況――つまり、得体のしれない人物が勝手に席を占領して会長が困惑しているという状況は、親衛隊長である俺のミスということになる。

「やめろよ遼、」
会長が制止の声をかけてくれるが、それに甘えるわけにはいかない。
「いえ。俺の過失です……本当に申し訳ございません。」
「森垣くん、気にしなくていいから」
「いますぐに退かせますので」
と、後ろを振り返ると、鳴瀬は周囲など一切気にかけない様子で親子丼をわしわしと食べている。

「陽人どうしたんだよ、それのびてまっずくなってるぞ」
「何やってるんだよ本当に!」
「食ってる!うめーなここの飯!」
本日何度目かの笑顔を見せる彼の前歯には、きざみ海苔がついていた。あぁ、なんというか、もう……
相変わらず周りの生徒はうるさい上に、生徒会メンバーを盗撮するシャッター音とフラッシュが絶えない。頭がくらくらした。


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