三角関係的友情的親愛_16

帰宅後、奈津から連絡が入った。来週末、映画に行かないかという内容で、もちろん奈津と悠樹の二人でだ。

「……ひどいよなあ」

奈津の気持ちを考えれば、俺が悪かったとも思うけど。普通に考えて、恋人同士になったのならその二人だけで出かけるべきだ。奈津も、あの日の帰り道、散々迷って勇気を出して俺に話しかけに戻ってきたのだろう。でも、今まで18年間一緒にやってきた御影を無視するなんて俺にはどうしてもできないんだよな……三人じゃないとどうもしっくりこないというか。一人だけ仲間はずれにするなんて。
それに、お前がその誘いを送った携帯は、さっき御影が必死こいて探したやつなんだぞ。俺なんかに連絡する前に、御影にお礼の一通や二通送れば、あいつこの先一週間はずっとハイテンションでいられるくらい喜ぶだろうな。奈津は送ってんのかなー、多分送ってないだろうな。

「……ひどいよなあ」
数時間前の真剣な目を思い出し、もう一度呟く。
やはり誘いを断るべきか数分間考え、文面も作りかけたが、結局は消去ボタンを押す。いいよ、何時に待ち合わせする?、送信。

返事は数分も経たずに来て、今話題のアクション映画を見に行くことに決まった。午前九時、朝一番の上映スケジュールだ。そんなに早く行って何時に帰るつもりなんだ、と思ったが特にこちらの希望はないのでそのまま了承する。



約束の日、悠樹が目を覚ますと時計の針は九時を指し、携帯には不在着信とメールが数件。
「え…………やっば!痛ぇ!」
慌ててベッドから降りた拍子に、サイドテーブルに小指を打ち付け悶絶する。


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