三角関係的友情的親愛_15
背後からの声は続く。
「悠くんのことが好きだから……だから、頑張ったのに」
「奈津……」
「今日だって、本当は、」
「奈津!」
それ以上は言ってくれるな――と振り返った、が、遅かった。
「……二人で来たかった……!」
波の音がうるさい、いや、これは血管を潮が通る音か。
「おい!あったぞー!」
御影が携帯片手にこちらへ来る。
「あ、携帯、あったって、よかったな奈津」
後方を指し笑顔を作るも、奈津の眼はこちらを射抜いたまま動かない。
「悠くん。約束して……次は二人だって」
なんて残酷な言葉だろうか。お前のことが好きなあいつはあんなに一生懸命に、肘まで砂だらけにして落し物を探したのに、それを一切無視して、身体全てでまっすぐ俺に向かってくる。欲しくてたまらないあいつには目もくれてやらないのに、俺には心まで渡してくる。
「……ごめんな、わかったよ。」
俺には、求めている方向へ目を向かせてやることはできない。
謝罪の言葉は、誰へ宛てたものか、自分でもわからなかった。