三角関係的友情的親愛_13

数年ぶりの水族館は、まぁ、なかなかに楽しかった。噂のプロジェクションマッピングとやらも演出がなかなかに凝っていて、魚の表面って思ったよりつるつるしててスクリーンっぽいんだな、とか、エイってあんな柔軟に泳ぐんだっけ、とか。
外に出たら、辺りはすっかり暗くなっていて、灯台に明かりがともっていた。
「うわ、海が黒い」
「本当だ」

夜の海はあまり馴染みがなかったが、昼の快活な雰囲気から一変して、黒く泡立ち、砂浜に喰らいかかり、また吐き出す。時折、街の光や月光をがぶりと飲み込む。

「ねえ、降りてみようよ」
「奈津やめな、危ないって」
「踏み外すなよ」
コンクリートの階段を足元に気をつけながら降りる。波の声が一段と大きくなる。
「大丈夫大丈夫、案外明るいから、月。なんなら携帯のライトで照らすし」
「ちょっと待てって」
「靴脱ぎてー」
スニーカーに靴下で来てしまったから、気持ち悪くても脱ぐに脱げない。なるべく砂を蹴りあげないようにしながら、海がこんなに近いと知っていたらサンダルで来たのに、と密かに後悔した。

「あっちになんか屋根のある場所があるよ」
奈津が数十メートル先を示す。
「つーか、こんな夜で泳いでる人もいないのに、なんであそこだけ人いるんだよ」
「悠樹…海ときたらカップル、あとはわかるな?」
「いくらムードがあってもあんなに密集してるのは勘弁」

コンクリートでできた、砂浜より少し高いステージ上になっているところは電球が静かに灯り、その下には数組の人達が集まり、各々この雰囲気を楽しんでいるようだった。
「な、俺達お邪魔だって」
戻ろうぜ、と小声でささやくと、残りの二人は神妙な顔で頷いた。


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