半宵_11

先輩の方を盗み見ると、自分のマグカップの中を見つめていた。
「悪ふざけのつもりなのかも、しれないですけど」
「それは違う」
先輩が顔を上げ、咄嗟に俺はまた目を落とす。

「木島のああいうところが見たかったからそうした」
「……そっすか」
「強引になったのは謝る、けど、ふざけてたわけじゃない。」
「は、冗談じゃなかったらなんで男のシコるとこなんか」
鼻を鳴らす。どうせ悪乗りのひっこみがつかなくなっただけだろ。
「この間言ったでしょ」
「何を」
ぎっと睨みつける俺を真正面から見据えて、先輩は言う。

「木島のことが気になってる」
「な……」
「ていうか、割と好きです。」
「え、いや、あの、」
「だからああいうことをしてしまいました」
ごめんなさい、と子供のように頭を下げる。好きだなんて言われて、正直に謝られたら、もう何も言えなくなるじゃないか。困る。


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