桃色めろでぃ | ナノ



「カノン姉ちゃん、最近寂しそうな顔ばっかだね」

「え?あ…ううん、そんなことないよ。……頑張ってるんだもん…ユーリも、フレンも」


私は、何ができるのかな。

…なんて、こんな私に何ができるわけでもないのに、ね。



***

「ただいまー」

「えと、ただいま」


二人の「ヒーロー」が一時帰還したことで下町は少し騒がしくなった。
ユーリとフレン。二人は同じ騎士団の服を着て、下町に帰ってきた。
下町ではすっかり有名人な二人の周りには、沢山の人が集まっていた。


「まあ、二人ともすっかり大きくなって」

「いや、まだ一年どころか半年も経ってないんだけど」

「フレンの方が様になってるんじゃない?ユーリはまだまだね」

「はは、そうかな」

「二人ともかっこいーな!」

「おう!もっと褒めたっていいんだぜ?」

「ユーリには言ってないようだ」

「このっ生意気な」

「はは…」


フレンもユーリも対応しながらも誰かを探していた。勿論下町の皆はそれが誰かをわかっていたから、宿屋のおばさんが少しにやつきながら言った。


「あんたらが探してるのはあのうさぎさんだろう」

「あー…うん、まあ。あいつ何処だ?」

「それが見てないのよね…折角あんた達が帰ってくるっていうのに…まだ寝てるんじゃないかしら」

「ってことは部屋かな。ユーリ、僕先に…」

「行かせるかよ。ちょっと起こしてくるわ」

「ユーリ、フレン行ってらっしゃいー」


***


「おーい、うさぎさんー?」

「……返事、ないね」


扉の前にきて声をかけた二人だが返事はなかった。でも、前から声をかけても寝ていることはよくあった。


「失礼しまーす」

「ちょ、ユーリ、仮にも女の子の部屋に」

「仮にもってなんだ。ってオレ達の部屋なんだから問題ないだろ」


ユーリはそう言いながら持っていた鍵で扉を開けた。


「うわっ」


突然の風にユーリとフレンは顔を覆った。
風が収まって、目を開けると、ベッドの上には一人、少女が窓の外を見つめたまま座っていた。
桃色の髪が白いワンピースと一緒に靡く。

勿論ユーリとフレンは彼女を知っていた。
さっきから探していたのは、彼女なのだから。


「な、なんだ、もう起きてるんじゃねーか、カノン」


ユーリが名前を呼ぶとカノンはゆっくりそちらを向いた。
虚ろな目でじっと二人を見る。


「え…カノン…?」


彼らが会いたいと思った少女はもっと元気で、人見知りだがよく笑う子であった。
なのに、前にいる少女は。
見た目はそのまんまなのに何かが違う。


「………あれ、うさみみじゃね」

「…ああ、確かに。ってそういう問題じゃないよ!」


確かに見慣れたうさみみがなかった。
だからぼーっとしているのか。
フレンは的確なツッコミをいれながらも辺りを見回した。


「実は、呪いのうさみみ…とか」

「はあ!?いきなり何を言うんだキミは…」

「いやだってさ、実はあのうさみみはつけた人間の生気を吸って…」

「そ、そんなことあるわけないだろ!」


フレンは少しむきになって反対し、ベッドの下を覗くと、見覚えのある耳が見えた。


「これ…じゃないかな…」

「ああ…それだな。フレン貸せ」

「え、あ…うん」


フレンは恐る恐るそれ、をユーリに手渡した。
なんとなく禍々しいオーラが出てるのは気のせいだろうか。気のせいだと思う。


「ねえ、それつけるの…?つけたら更に生気を吸われちゃうんじゃないのかい…?」

「ばっか、おま、さっき反対してたじゃねーか」

「でも現にカノンが」

「まあ…でもつけちゃったし」

「ユーリ!」

「…へ?」


空気を読まない間抜けな声が聞こえた。
ユーリとフレンは声の主をじっとみつめる。


「え、何?どういうこと?ほえ?なんでユーリとフレンがいるの?騎士解雇されたの?いやでもフレンに限って…」

「オレは有りなのかよ」

「いやだってユーリだし…ってえ、ほんとに解雇されたの?」

「されてねーよ。休暇もらったから帰ってきただけだ」

「そうなんだー!…ていうかなんで私の部屋にいるの?」

「元々はオレ達の部屋だ!」

「それよりもカノン、一つ聞いてもいいかい?」


ユーリに任せてたらいつまでも本題というか気になる謎に辿り着けないから話を遮るとフレンは尋ねた。


「ん、なあに?」

「……その、うさみみはなんなんだい…?」

「…」

「…」


暫しの沈黙。
…まさかほんとに呪いの、と焦るフレンと同じく呪いかと少し愉快に思うユーリ。


「…え?」

「「は?/え?」」


訳がわからない、といった顔で逆にカノンが聞き返した。
ユーリとフレンも思わず間抜けな声を出してしまう。


「え、ええ、は、え?うさみみ?え?」

「いや、そんなテンパるなよ。お前の頭についてるうさみみは何って聞いてるだけなんだけど」

「え、普通に耳でしょ?」

「はい?」


カノンはけらけらと笑うと自分の頭についてるうさみみを引っ張った。


「ユーリ達は耳もわからないの?いあーだよいあー」

「え…いや、でも取れてたしそもそもキミは人間…」

「耳が取れるわけないよ。そんなことあったらホラーだよ怖いでしょ、わあっちょっユーリなにすんの!」

「取れねえ…」

「ユ、ユーリ!」


気になったユーリがうさみみを引っ張ってみたが取れる気配はない。
どころか痛覚でもあるのか引っ張られたカノンの方はキッと彼を睨むと半泣きでフレンの後ろに隠れた。


「あーあ、うん悪かったって。でもお前のうさみみさっきそこに落ちてたんだぞ?」

「うぐっ…おちてるわけないじゃん、耳が取れるわけないんだ…から」

「って言われてもなあ…フレン?」


話を振られたフレンは苦笑するとカノンの頭を撫でながら答えた。


「そうだね…確かに落ちてたし…。そういえばカノンは僕達が入ってきたことは覚えてる?」

「ううん、全然。気付いたらいきなり前にいたからビックリしちゃった」

「嘘泣きかよ」

「ユーリがいきなり引っ張ったりするからだもん!ユーリのバカ、いじわる」

「な、バカって」

「まあまあ二人共。…でもなんなんだろうね、ほんと」

「だから耳だってば…」

「やっぱり呪いの…」

「そんな非科学的な事があるわけないだろ」

「おや、フレンちゃんは意外と現実主義者ー?」

「そもそもユーリが、」


二人の口喧嘩(といっても一方的にフレンが話してるだけ)を聞きながらカノンは笑った。
本当に、そのうさみみが彼女に影響を与えている事も知らずに。




*****

あまりにも内容がわけがわからないよだったので後書き的なにかを。
途中で飽きたんですそれは認めるんです。
うさみみ無しと下町二人がはじめて会ったシーン書きたかったのにこんなもんだよ!
こいつの性格がいまいち分からん…なんなのこの子



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モドル