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09

目が覚めても、私は私のまま、河原は河原のままで。隣に主人公がいた、なんてこともないなかで空だけが色を変えていた。日が沈む瞬間。さっきまで晴れていた空は、雲で覆われている。雨が降るのかもしれない。曇天だ。
立ち上がる気にもならなくて、雲に覆われながらも沈んでいく夕日を眺めていた。別に、帰らなくてはならない場所はないのだ。帰りたい家も、特になかった。強いて言うのなら、修学旅行で行った北海道が懐かしいので、北海道に行きたい。女満別空港。気味の悪い網走監獄は、江戸時代現役だっけ?6千円じゃあ、北海道には行けないよな。お金が欲しい。
何も持っていない私だが、売れるものはまだあった。身体だ。
高校時代から、手を出そうとしたことは何回かあった。いいのだ。ハジメテというやつは、心底好きな人に捧げるか、高値で売ってやろうと決めていたのだから。




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