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見た目は人間と変わらない私なんだから、前みたいにその辺の人に聞いてみればいいんじゃないかと歩きながら思い至った。歩きながら、と簡単に纏めたが、途中で壁を乗り越えたりもした。なんかカッコ良さげだけど精神的にではなく物理的に。もちろん目立つのは困るので乗り越えたのは真夜中。一回の食事で5、6時間しか持たない燃費の悪い人間とは出来が違うのだ。喰種の体質に圧倒的感謝。
で、誰かに聞くっていう話だが。別に誰に聞いても構わないが、警戒されたり不審がられたら面倒だ。さっきは頭に血が上っていたし、周りに人目もなかったから荒っぽい手段を取ったが、ここは人目も多い。なんかこう、聞いたら素直に答えてくれるような純粋な子供とかいないものだろうか。きょろきょろしながら歩いていると、路地の奥から争うような声が聞こえた。これは好都合。路地を進むと、一人の子供が何人かの子供に取り囲まれていじめられていた。私が近づいていっても、ぎゃーぎゃー喚くガキ共は気にしない。周りのやかましいのに関わるのは面倒だし、お腹も空いていないので、一瞬に穏便に済ませることにする。

「失せろ」

いわゆる壁ドンというやつ?家の壁を壊れないように加減しながら殴りつけると、ガキどもは蜘蛛の子を散らすように去っていった。これでいじめられてたガキも逃げてしまっていたら何の意味もなかったのだが、そんな杞憂も杞憂で終わったようだ。あ、もしかしてこれも多少荒っぽい手段か?まあ責められることは何もしていないいいだろう。

「大丈夫?」
「まあ、はい…ありがとうございます」

怯えられて会話もできなかったらやっぱり本末転倒だったが、そんなこともなくとても幸福。助けることが目的ではないので、早速質問に入る。

「ねえ…お礼と言ってはなんなんだけど、ちょっと教えて欲しいことがあるんだ」
「…なんですか?」

私はちいさく深呼吸をしてから問う。どうやら、少し緊張しているらしかった。馬鹿じゃね。

「調査兵団って、今どこにいるか知ってる?もしくはどうやったらなれるのかな」
「え、調査兵団…ですか?」
「うん」
「お姉さん、調査兵団になんの?」
「あー、いや、別になれなくてもいいんだけど…」

正直に答えたところ、珍妙なものを見るような目で見られた。普通に嘘つけばよかったかな。

「なるには…訓練兵団になればいいんじゃないですかね」
「訓練兵団」
「お姉さんの年で入る人はあまりいないと思うけど…」

失礼な。

「じゃあ、調査兵団は今どこにいるか知ってる?」
「今は…壁外調査の真っ最中ですよ。なんで知らないんですか」
「世間に疎くてね」
「ふーん」

聞いてきたわりには興味のない返事をしてくる。身に覚えのある生意気な雰囲気を感じるのだが。気のせいだろうか。

「まあいいや、ありがとう少年。強く生きろよ」

早く大きくなって食べ頃になってね。

「ああ、はい。頑張りますよ」

いまいちやる気のないやつだな。人のこと言えないけど。質問に素直に答えてはくれたが、純粋な子供だとは思えなかった。なんでいじめられてたんだこいつ。

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