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そこはどうやら、地下のようだった。デパ地下みたいなきらびやかな地下じゃない、東京の路地裏みたいな。でも、路地裏だって日の光は届くし。地下だから、暗くて、今の時間もわかりゃしない。知らない場所だってことはわかるけどそれがわかったとしてなんの役に立つんだよっていう。なんかもういろいろとめんどくさくなって、地面に座り込んだ。どうでもいいけど、ここに人間がいなかったら死亡フラグだな。今も使われている地下街であることを願うよ。

ぐったりと天を仰ぎ見たが当たり前のようにそこは天井で青い空なんてものは見えやしなかった。
やれやれ。なんでここにいるのか、ここがどこなのかさっぱり見当もつかない。……いや。

ここがどこなのか、全く見当もつかないって言うと、それは、嘘になってしまうわけだけれども。だって、私は地下街というキーワードに思い当たる節がある。絶対とは言い切れないけど。言い切らないけど。
だって、それを信じてしまうと今まで積み上げてきた何かを壊すことになりそうで。いやむしろ、積み上げた何かをせっかく丁寧に一つずつ崩していたのに派手にぶちまける羽目になりそうで。憶えている意味がないのなら、忘れているままの方がずっと楽だもの。臆病なわたしは、無駄にしんじて無駄に傷つきたくなかった。
…でも、もしも。あの時の自己満足を1%でも達成できる可能性があるのならば。あれは、本心だったはずだから。

他でもない、自分のために。たまには諦めないっていう選択肢をセレクトするべきなのかもしれなかった。

そのためには、歩き出さないと。

そう心の内で唱えつつも、私は足を前に投げ出して座ったまま、しばらく天井を見上げていた。いつまでたっても、当たり前のようにずっとただの天井だった。

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